NATOを解体していたら

 2012年上梓のいくつかの論説をまとめたNATOの直近が良くわかる本です。
 どちらかというと立ち位置は右寄り、西側諸国寄りからNATOの存在感を示す論調もあります。
 そのなかでも感じられるのが、東西冷戦中は重大な使命を帯びた軍事同盟が、冷戦終結で当然ながら役目を失い呆然自失となったであろうということです。
 残念ながら、軍事同盟や兵隊、軍事産業は戦争がなければ役立たずのごく潰しと言われかねません。コソボやアフガンなどにも介入しだすのは、存在価値を見出したい背景があったのです。
 ウクライナ内乱、今回のロシア侵攻につながるものもあります。NATOがあって良かったのか、なければ戦争そのものがなかったのかは議論のわかれるところです。
 中立国だったフィンランドやスウェーデンの加盟も取りざたされていますが、国際制裁や戦争の終結を目指すというより、アメリカ側のプレッシャーと勝ち馬に乗りたいだけなのが良くわかります。
軍人、軍隊に仕事がなくなると必ず兵士の不満のもとに次の戦争が欲しがられるのは歴史の常です。
 冷戦終結後、ロシアも自由主義陣営の経済に入っていたのですから、仮想敵国のなくなった時点でロシアも加え、環境問題や自然災害に備える国際援助隊のようにシフトしていれば、時代遅れの戦争など始めなくてよかったのにと思います。
 

役所の誤送付を無くす以上の無駄

 給付金4630万円が山口県阿武町から振り込まれ返さない男が逮捕されました。
「私ならすぐ返す」とか、「うらやましい、」「役所は何をやっている」とか喧々諤々とささやかれます。
 役所の仕事は少し関わったこともありますが、概ね民間より、大変無駄なほど多くの人の稟議を経て決済されます。それでも、形式通り出ていればスルーして今回のような間違いは起こります。
 今回のケースとは違い、経験上なので守秘義務で詳細がいえませんが、細かいチエックを何人もがやるわりに、木を見て森を見ずのようなところが役所にはあります。AIで精査しておかしいところだけを専門職が見るほうがよほど効率がいいでしょう。
 個人情報の問題と、IT化の遅れ(いわゆる日本の周回遅れ)と選挙対策優先で給付業務が自治体に回るのは、一般に考える以上に自治体にとって手間のかかることです。
 本来は税金を一時的の控除するとかでもいいものです。また給付金のための体制としては、マイナンバーに紐づけ(これも普及が難しいのか)それができなくても住民票と給付措置用の口座を紐付けておき、辞退や別口座希望者だけ申請をするやり方にしないと、全てを申請型給付にして都度口座まで入力か記入して、それを確認してるととんでもない効率の悪さと残業大など人件費がかさみます。
 それでミスをすれば非難轟々ではさすがに世論も身勝手というか、まあ政治が改善しないのが悪いのでしょうが。
 

沖縄返還50年の日

 沖縄が返還されて、今日2022年5月15日で50年になります。
 私にとっては子供の頃のエポック的な出来事です。それまではドルを使って車は右側を入っていたわけです。
 当時、次は北方領土だと言われましたが、そちらは何の結果もでず50年です。
沖縄、北海道は本州、四国、九州に比べると国境の意味合いは少し重い感じはします。沖縄の基地負担と基地依存の問題も根深く難しいです。

 しかし、現在のウクライナ情勢を台湾有事にすぐ結びつけて、大国が軍事力でいきなり現状変更を迫るというのは日本に急に当てはめることは適切ではありません。
 それぞれを切り離してよく考察しないと、ロシアにしろ中国にしろ理由もなく他国にいきなり攻撃をしかける狂った国家ではありません。
 沖縄戦をはじめ、原爆や空襲の悲惨な体験の正確な記憶が消えかけていく中、しっかりした防衛は必要ですが、それ以上に国際情勢に干渉して紛争を誘発する必要はありません。
 平和な観光とリゾートのイメージが強まった沖縄が、米中の対立の最前線となることは是が非でも避けたいところです。
 

インフレと賃上げ前に年金給付をどーんと引き上げると言えばいい

 毎年、マクロ賃金スライドで物価や賃金が上がっても年金支給額が少し抑えて財源に充てると決められています。後期高齢者医療保険料は激変緩和措置で毎年微増します。介護保険料も何年かおきに増え続け、一般の健康保険料も健康保険組合や自治体の財政も厳しく増えることはあっても減額されることは少ないです。
 毎年、年金振込額が減ったと6月や8月にお年寄りからの苦情めいた確認の電話が役所や年金事務所に来ます。
 年金はもらい始めると自力では増やすことはできません。天引きの保険料はまず収入を直撃します。そして、家賃や光熱費、食料品、燃料などの値上げのニュースにもおびえないといけません。


 よほど潤沢に他の収入や貯蓄があるか、厚生年金や共済の報酬月額が大きく十分な年金がもらえる方以外、最近受給のはじまった方、特にいわゆる一階の基礎年金、国民年金のみの期間が多い方は死活問題です。
 ありとあらゆる値上げや負担増に反対、攻撃的になりがちです。選挙でもこれらのボリューム層をつなぎとめるため、政府や政党は目先の給付などで目くらましをします。
 年金財政も厳しいし、健康保険介護保険も厳しいから、いかに気付かれずにごまかしていくかが政府の方針という若い論客もいます。
 確かに少子高齢は大きな問題です。しかしそれでインフレターゲットや賃上げはスローガンだけに終わり、庶民はダウンサイジングで誤魔化された実質値上げ品や粗悪で不衛生な劣悪品や海外物で賄うしかありません。怖いのは日本の生活水準も作るものもやがて、海外水準についていけなくなることです。このままでは、早晩日本の強みはなくなります。


 結局、燃料や穀物などの相場が2割も5割も上がっているのですから、国際的にいつまでも「ゴマカシ」は通用しません。
 「年金給付は5年後に物価が50%上がるから、マクロスライドをひいて49%引き上げ、国民年金の給付を月10万、厚生年金片方がずっと加入のモデルケースの夫婦は月30万を予定している‼」と政府が宣言すればよいと私はひらめきました。それをターゲットにして、賃上げやインフレを当たり前に段階を踏んでいく。
 最低賃金のバイト基準で、最低の飲食やサービスを提供しているような店は変化、淘汰していけば良いのです。
 これだけでもかなりの課題、反発はあるでしょうが、若者にも高齢者にもバラ色の日本の未来を示すには年金の倍増ありきぐらいの提案と啓蒙が必要です。

戦争、平和への思い

 広島平和記念資料館の展示、そして呉や江田島の施設も見ました。原子爆弾によって無差別に都市のほとんど全ての人が被害に遭いました。
 日本人に限らず在留の外国人や、捕虜も被爆しています。在日の同盟国ドイツ人も、捕虜のアメリカ人も被爆しています。
 戦争は愛国心を鼓舞し、実際に召集され祖国のために戦うことは勇ましいことです。現在の日本でも自衛隊が全くなかったらやと思うとやはりそれは大変なことでしょう。
 ミリタリーというとおしゃれですが、今も昔も兵士はリスペクトされないといけませんし、それを応援する気持ちは国民は持つのは当然でしょう。
 しかし、一方で市民が戦争に巻き込まれ攻撃されること、送り出した家族が死ぬことは、これもまた大変な苦痛です。
 かつて出征や、その先で特攻に向かい命を落とした若者たち、あるいは空襲や原爆で亡くなった市民たち、戦争の悲惨さもまた真実です。
 日本の戦争から77年たち、小ぎれいに制約の中でまとめたテレビドラマや、遠く離れた海外からの映像でしか戦争は見られなくなりました。
 そこにいろいろ偏りはあったとしても戦争を記録して、実際に見聞し、平和を訴える施設などから伝わる言葉、その人達の背景には胸を熱くさせるものがあります。
 戦前戦中の一部のリーダーが異常だったのではなく、戦争は国全体が進んでいったものです。そこには、はっきりした正解も正義もありません。あいまいとかした戦争と平和を天秤にかける人間なのか神なのかがいるだけかもしれません。

広島を訪れ平和を祈念し、#戦争#核

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 連休に中国地方を旅していて、鳥取から福山、鞆の浦、尾道、呉と周り、最後は広島駅から新幹線の予定でしたが、広島の路面電車も久々に乗っていきたいとも思い、やはりここを素通りするのはいけないと平和公園、原爆ドームと改装された平和祈念資料館を訪れました。連休中夜8時まで開館というのも、何だか「見ておけ」という運命なのかと磁石に吸い寄せられる鉄粉のごとく、見学に入りました。

紹介mvから


 CGなどの技術が進みリアル感も増し、本当に重く暗い史実がそこにはあります。旅の疲れも増し頭が痛くなり吐きそうになるほど、心身に響きます。人類の罪というのか、非業によって生まれた悲しいもので胸がいっぱいになります。
「熱い、熱い」と叫び 「水を、水を」と叫び壊れていく人々は、自分の係累、父や母、祖父母、子供たちか自分自身なのかもしれないと感じさせます。

 日本に原爆が落とされたのは、日本が侵略戦争をして、アメリカを奇襲で攻撃したから自業自得の面があるという自虐史的な理解には私は絶対うなずけません。日本が細菌や毒ガスの生物兵器を研究していたからと、アメリカの免罪的言い訳も後付けでまったく正当性はないです。
 どのような局面でも、こんな大量破壊兵器は使われてはいけない。核攻撃は昔も今も許されてはいいけない禁じ手の戦術だったです。

 ともすれば「核」を保有することが大国の防衛の要とされ抑止力と言われ、相手が核のカードを切ってくる可能性がある以上、戦略上持たざるをえないという冷戦時代からの理屈がまかり通ります。
 ロシアのウクライナ侵攻を機に、日本も「核共有」や「核保有」という議論さえ出てきています。
 原爆の被害の実相を世界の人々に伝え、核廃絶と世界恒久平和に寄与するというヒロシマの心をこの施設を見学して、もう一度見て欲しい人達が多いことです。

 どんな悪い国であっても、核による戦争、核攻撃で先制する戦争も終結させる戦争もあってはならないのです。

 アメリカの元大統領オバマが来た時警備が大騒ぎになったと誰かが言っていました。
今、日本の首相はこの広島の出身です。G7サミットをこの地で、世界の首脳にヒロシマの教訓を理解してもらい、平和を祈念してもらう。

 お花畑のような話と、非難する人もいるでしょうが、世界の指導者は相手を尊重し、話し合い信じることです。悲しみや怒り、裏切りや争いや憎しみだけで世の中を動かしては不幸しか生まないのです。
 一人一人の死が重いように、一人一人の微笑みも信じる心も、優しい心も重いはずです。平和を祈る。死んでいった人たちへ少しでも報いるのはこれからの平和です。

イビチャ・オシム監督 動乱の国のスポーツの英雄 

 サッカー日本代表監督でその戦術や哲学は歴代でもピカイチだったオシムさんが亡くなられました。
 旧ユーゴの中でも厳しい情勢だったボスニア・ヘルツェゴヴィナの出身で戦争と政治に翻弄された人生だったとも振りかえているメディアもありますが、さまざまな戦術や生き様の中にも平和な日本を愛していた姿もあります。
 民族を超えて多くのサッカーやスポーツを愛する人に、オシムの言動や指導とその人柄は注目され、尊敬さていました。
 「ライオンに襲われた野ウサギが肉離れするなどあり得ない」
 という名言も日本サッカーの生ぬるさを厳しく諫めました。


 私の住む京都太秦に国内ただ一つのスロベニア料理のレストランがあり、旧ユーゴ出身で京都大学を卒業され日本に定住されたシェフもおられます。日本にとってはクロアチアのストイコビッチなどサッカーが有名な程度で、大きな動乱があってもそれほど注目されたことはありませんでした。
 

 このところのウクライナ情勢で、この5月3日の憲法記念日でも世論調査で、憲法改正やむなし、自衛隊を軍隊と明記して、敵基地攻撃を可能にし、防衛費のGNP2%超えを許容する世論の割合が増えています。
 ウクライナばかりがこれだけの騒ぎになり、シリアやアフガン、オシムのいたユーゴスラビア、ミャンマー、などはなぜ注目されなかったのか、私には疑問です。
 内戦だから、巨大国が他国に攻め込んだインパクトと違うとも言われますが、問題にすべきは戦乱があり難民や被害者の数ではないのかと思います。内乱が自業自得とも思っているのでしたらそれは違います。民族の対立には必ず、戦争を陰で操り煽る大国の動きがあります。
 紛争の火種があり、戦争しても正義を貫きたい世論を焚き付けられると、悲劇が始まります。
 外国に長い外務省の有人曰く、日本が平和で外国から好かれていることに間違いはなく、また敗戦を経験してすぐに近隣諸国に突っかかって紛争になる可能性がないことは素晴らしいことだそうです。

 ユーゴの悲劇はモザイクのような連邦国家が要因です。多くの民族が共存し、あるいは国境を越えて同一民族が別の国家に多数住んでいるということ、領土や宗教などで譲りがたい紛争の火種がある場合がその対立の最終手段として戦争があるのです。

 ユーゴスラビアのケースもアフガニスタン、シリア、ミャンマーなどのケースがすぐ日本にあてはまらないのと同じように、ウクライナのケースは日本にあてはまりません。
 軍備だけ拡張して、戦争が始まってしまっては勝つか負けるかはわかりません。日本は先制攻撃ができない戦いを強いられますから防衛力は無傷でいるのは物凄い大差をつけないと守り切れません。ケンカは先手必勝なのと同じです。日本がぼこぼこに殴られないと、安保条約で米議会の承認を受け米軍が助けに来ないでしょう。
 今の情勢が本当に危険なものなら、憲法改正は待ったなしですし、防衛費GDP比2%超えも今すぐでしょう。5年とか言ってるのは危機でもなんでもないからです。防衛費は比率ではありません。必要な更新時期があれば超えるときもいりますし、無駄な税金を予算ありきで捻出するものではないです。

 台湾の情勢は油断はできませんが、今すぐそれでも中国が軍隊を派遣する情勢ではありません。
 
 今の日本のまわりにすぐ戦争になるような問題はありません。今後ともその芽を摘む方向でいいはずです。

ウトロ平和祈念館を訪れました #在日の厳しい運命

 2022年4月29日にオープンした京都府宇治市伊勢田にあるウトロ平和祈念館を訪ねました。
この写真はその祈念館の屋上から南側、自衛隊の大久保基地を見ている光景です。
 ウトロ地区は在日韓国人地、戦前飛行場を造るため集められ敗戦後、韓国に戻らなかった人達が居住していたところです。長い間、上下水道も通らず、立ち退きも強いられ差別と貧困に苦しんだ人達がようやく令和になって再開発をされ、祈念館にその事実、経緯を刻まれています。

 私は15年ほど前、東北から関西に戻り宇治市大久保に住んでいました。その時伊勢田のウトロ地区の様子は実際に見聞きしました。21世紀になっても立て看板でいろいろな問題を訴えるその住宅群は正直異様に映りました。
 京都に住む人でも知らない人もいるかもしれません。知って目をつむっている方も多いかもしれません。サッカーの日韓W杯、韓流ブームもありましたが日韓の関係はなかなかいい方向には進まずむしろ悪くなる一方です。
 昨年もこのウトロ地区の看板にヘイトクライムによる痛ましい放火がありました。

 私は政治的な問題は常に中立で、どちらかの肩を持って相手を攻撃することは好きではありません。歴史は勝者や国により歪められます。それぞれの主張には主観が入り、恣意的なものになりますから、私は常に片方によらず両方の可能性を考えます。
 この施設で語られ、展示される日本特に戦前の日本が全て正しいとは思いません。いわゆる左翼系の自虐史型日本史へ誘導する錯誤の可能性もあります。しかし戦後の復興の後も日本政府の行政が動かず日本社会が差別や偏見、非協力な無視が続いたことは事実でしょう。
 日韓や在日の問題、歴史も含め改めて知ると私は知っているつもりで勉強不足でした。

 ウトロの経緯も詳しくはなかなか分からないものです。
 知らないことが人々の嫌悪の感情を産み、ヘイトに繋がっているのではとも思います。
私自身も、在日の人がなぜ本国に帰らなかったのか、帰ったら良かったのではと単純に思っています。実際に帰国支援事業もあったというい事実を持ち出し、【不法滞在だから仕方ない】という考え方をされる人もいます。国や法律が正しいのか間違いのかではなく、救い切れないものがあり、それぞれの考え方がありそこに不幸が産まれました。
 では差別やヘイトが許されるのか、今ウクライナの難民には手を差し伸べたいという方がたくさんおられます。誰も好き好んで異国に住みたくはないはずで、まして上下水道もない買い物もままならないところで住むのに何らかの事情はあるでしょう。その経緯を詳しく知れば仕方なかったと分かることもあるでしょう。また法律を盾に分からない人もいるでしょう。


 いわゆるネトウヨという人の在日攻撃は未だにあらゆるところで止みません。在日の人の中に日本社会で成功した有名人、財界人も多くいる中で、それをあげつらい並べ上げて何が証明され何が楽しいのでしょうか。

 厳しい条件で努力され成功された人は認め、恵まれない人はとことん罵倒し罵詈雑言を吐くのが日本人のやることでしょうか。

 愛国心、真面目な法律や秩序のためか、公益や私益を拡大する使命感のためか、日本人は時に優しく、時に残酷にまっすぐ進みます。

 日本人は美しい花を作る手を持ちながら、一旦その手に刃を持つとどれだけ残忍極まりない行いをする(帰ってきたウルトラマン33話「怪獣使いと少年」)

バブル期ではない日本こそ深刻

 未だに日本はアメリカや西側諸国のATMと言われ、軍事援助はできないお金は払うが感謝はされない国のようです。
 30年前にもなるバブル期直後の湾岸戦争と違い、日本は少子高齢で人口もGDPも先細りでお先真っ暗、他国を助けてる余裕などないのです。
 もはや湾岸戦争ですらかなり過去のものになり当時の政治トップはとうに死去か引退もしくはロートルです。報道や評論家も当時から今も第一戦は希少です。朝鮮戦争やベトナム戦争となると完全に生まれてない人も増え、最近の中東情勢でも中身がわかる人は少ないのです。

【戦争がどうして起こるかわからない‼】という世代の人達が、ロシアのウクライナ侵攻の報道を受けてやたらと不安になり冷静な判断を失っています。
 恣意的な過剰報道があるのか、フェイクうんぬんは抜きにしても、この反応が視聴率がとれ一般にうけているためにマスコミは連日さらにこのネタをかぶせて煽ります。アフガンやミャンマーなどの国に比べなぜか日本人にウクライナは身近に感じられてます。
 恐ろしいとされる構図はプーチンという独裁者のならず者国家がいきなり独立国の他国に戦争を仕掛けて侵攻し、市民や民間施設を無差別に攻撃しているという【恐怖】です。
 これが【理不尽なものへの怖れ】につながり、力による現状変更を許してはならないという原則を掲げ【反ロシア】一辺倒の世論となりました。これを許すと力による現状変更をしそうな中国が台湾、尖閣列島、沖縄にも来る!ロシアは北海道にも来るともはやトンデモ理論と呼べそうなところまで飛躍します。
 そして防衛費のGDP2%以上や、自衛隊の違憲解消、敵基地や指揮系統への攻撃、憲法9条改正もやむなしと護憲やリベラルの方まで押され気味です。
 私自身は防衛費というのは効率を考えながら精査し是々非々でGDP比だけに拘らす拡充が必要な時なあるとは思います。しかしこんな雰囲気だけでなし崩しはちょっと問題です。
 少子高齢の中、GDPはシュリンクする一方であり日本は軍事大国とまともにやり合える国力はありません。兵役もなく、ドローンなどの先端メカだけで戦争に勝てるすべがあるのなら相手も同じです。日露戦争、日清戦争で勝ち大東亜戦争の緒戦で勝ち続けて、アメリカや連合国に負けたのは兵站や戦略のミスだけと思っている世代は、戦争もありという人も一部います。
 人口が15倍くらいあり毎年増える中国にはGDPでも金額でも軍事費割合でも大差をつけられ正面から戦えるわけはありません。しっかり鍵をかけて防衛して警備会社と契約はしていても、こちらから喧嘩をふっかけることはあってはいけないです。
 【ウクライナの事情はすぐに日本にはあてはまりません】残念ながら台湾はウクライナに近い状況にはなり得ます。
 その時のため日本は中国とも関係を良好にしいておくことが大きいでしょう。


 まず戦争が勃発するには国と国の領土や経済などの決定的亀裂しかありません。
領土が隣り合っていれば地政学的に戦争になりやすいとは言われます。過去にも戦争はありましたが、今中国はロシアとは良好な関係です。インドとももはや戦争はなさそうな経済関係です。ドイツとフランスもかつては戦争しましたが今は良い関係でしょう。日本の外交はこういう関係の国を増やすべきです。長年近隣国でも中国は朝鮮やビルマやベトナム、タイを属国にはしていません。


 まして今のロシアとの断交でさえエネルギーや穀物でこっちが苦しむのです。中国と揉めると日本はたちまち戦争以前に経済で干上がります。戦争の心配以前の問題で、日本の産業、消費、経済の3割くらいが成り立たなくなります。8~9割が中国産というものが今でもあり入ってこなければ作れない流通できない、10倍の値上げになるとかの打撃の者が多いのです。アメリカは安保で助けてくれる可能性はあっても経済を救うわけではないのです。
 だから戦争の心配はしなくても、外交の心配が先です。

戦は人間の業(ごう)宿痾(しゅくあ)

【宿痾】長くなおらない病気。持病。

【業】仏教用語 

仏教身・口(く)・意が行う善悪の行為。特に悪業。また、前世の悪行の報い。

 前年ながら人間は戦争というものを断ち切ることはできないと思われます。ロシア侵攻以前から、世界の各地で紛争は絶えていないのです。
 各国は他の国を信じるわけではなく、徒党ともいえる同盟を組み戦争のための兵器を調達し、競い合うように戦力を誇示して戦うことを止めるわけではありません。
 戦争を始めた人間が特殊な狂人やならず者、あるいは戦争を支持していた国民は騙されていただけで支配層や時代背景が悪いという方もおられます。自己正当化して戦争を非難する層は戦争の忌避はあっても立場が変わればはたしてどうでしょう。
 自分が安全で自国とそのグループが勝ち続け利益が拡大すれば、戦争は対岸の火事です。むしろ遠く離れた他国、他人の不幸は大ぴらでなくとも蜜の味です。同情をしなながら、正義を語りながら日常の贅沢を愉しんで離したくない心理です。
 戦争批判の多くは自分に降りかかってきたときの怖さ、面倒くささが多くを占めます。
 結局は人種や貧富、格差、産まれながらの理不尽が支配層や富裕層への不満への爆発であり、次の支配と富を狙った争いを産むわけです。

 残念ながらそれが歴史であり、世界中の不変のもののようです。片方から見れば「悪」に見え、俯瞰してみれば「対立」に見える問題というものは消えそうになっても必ずどこかで発生していくものです。正義のヒーロー番組が最終回に悪を倒しても、次の週からまた悪の組織が新しく生まれる。悪役は正義を盛り立て憎まれるために存在するものです。昭和の特撮やプロレスと同じです。これが世界の構造であり、それが人間の宿痾なのです。