年金生活者支援給付金というクソつまらない制度

 2025年の年金改革の前にもう少し検討してやることがあると思うのですが、小手先の物が多すぎます。
 私が社会保険の仕事を始めた令和元年のその10月から始まった制度です。タイトルの言葉が乱暴ですみません。
 あまりにもつまらない、アリバイ作りみたいな手間だけのかかる給付を毎年続けているので、つい怒りがはじけました。
 この制度の細かい部分についてハガキの問合せ、「詐欺ではないのとか」「隣の〇〇さんと、年齢が同じなのになぜ金額が違う?」など問合せも多かったです。

年金生活者支援給付金】は、消費税率引き上げ分を活用し、公的年金等の収入金額やその他の所得が一定基準額以下の方に、生活の支援を図ることを目的として、年金に上乗せして支給するものです。
 これだけを見ると良い政策に見えますが、その内容は対象者も限られ金額もショボいものです。それもそのはず、厚生年金を受け取っていて、現役時代とはシュリンクした生活を強いられていて消費税増税の影響を受けた多くの年金生活者には全く関係はないのです。
 以下の支給要件をすべて満たしている方が対象となります。
(1)65歳以上の老齢基礎年金の受給者である。
(2)同一世帯の全員が市町村民税非課税である。
(3)前年の公的年金等の収入金額※とその他の所得との合計額が878,900円以下※である778,900円を超え878,900円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。(これは境界線以下と上で所得の逆転をさせないためです)
 【給付額】肝心な部分、ちょっと複雑です。
 細かく斜め読みでも、飛ばしても結構です。

 月額5,140円を基準に、保険料納付済期間等に応じて算出され、次の(1)と(2)の合計額となります。 
(1)保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5,140円 × 保険料納付済期間/ 被保険者月数480月
(2)保険料免除期間に基づく額(月額) = 11,041円 × 保険料免除期間 / 被保険者月数480月保険料免除期間に乗ずる金額は、生年月日で変わり、毎年度の老齢基礎年金の額の改定に応じて変動します。
昭和31年4月2日以後生まれの方は、保険料全額免除、3/4免除、半額免除期間については11,041円(老齢基礎年金満額(月額)の1/6)、保険料1/4免除期間については5,520円(老齢基礎年金満額(月額)の1/12)となります。
昭和31年4月1日以前生まれの方は、保険料全額免除、3/4免除、半額免除期間については11,008円(老齢基礎年金満額(月額)の 1/6)、保険料1/4免除期間については5,504円(老齢基礎年金満額(月額)の1/12)となります。
 で、実際には家族に養ってもっらっていないで国民年金だけの方が480カ月全て納付もしくは免除というケースですが、実際にはそう多くないですし、これだけでゃ月12万~15万ぐらいはないと生活できないので生活保護を受けていることも多いはずです。

 要するに月6万5千円貰っている人に、5千円強を増やす。
 免除期間があると増えますが、未納の期間があると5千円をどんどん下回った額になります。生活保護が必要な月2万程度の年金だと、千円程度増えるだけの通知が行きます。
 多くの実際の年金生活者には関係なく、国民年金のみの方を対象に、煩雑な計算で老齢基礎年金に別建ての行で振り込み、多くの方は生活保護も受けている。ならベーシックインカム論と同じく年金か生活保護に一本化して、消費税や物価にスライドさせればどれだけ手間が減り、事務が楽になり人件費が下げられる。たかが5000円程度に年金と別建ての送付や、振り込みに毎年どれだけ経費や手間を使い、そんなものは抜本的な生活基盤にはならないのです。
 何かが間違っています。頭のいい人の、やっている感、アリバイだけのようです。
 こんなものはすぐやめて浮いた経費を一律給付か、年金給付、年金財源に充てるべきです。こういう俯瞰して見れない、セクト型の頭の良い馬鹿が霞が関には多すぎる典型例です。今後、財務省とそこに洗脳された与野党の政府、国会では更なる消費増税が来る可能性もあります。増税の影響を蒙る多数の層は誰かを感じ、政策を考えないとだめです。

学歴、職歴、思わぬ自分史を作る機会を得て

 まったく数奇な運命で64歳にして、公的機関で再び採用試験に合格しました。しかし何と高校以降の学歴証明、職歴証明を提出せよと言われました。
 30代ぐらいまでの第二新卒、過年度採用のための書式ではないかと思いました。40年も前のことであり、入社した鐘紡(カネボウ、昭和57年当時は漢字)株式会社という会社は事実上倒産しています。学校も卒業証書や卒業証明ではなく、休学なども含む在籍期間の証明、職歴も仕事撫内容までも含めていったい、そんなの本当に必要で、そもそもはたして手に入るのかと思いました。
 学校関係は成績証明は無理でも、在籍証明は出せるそうです。年金事務の時に逆の立場で学生特例猶予の時にさんざん他人にはリクエストしましたが、卒業ではなく期間在籍の証明で、ネットや郵送で申請して、速達やレターパックで返送してくれました。高校は申請書に3年のクラス、出席番号、担任が分かれば書く欄があり、そこは記憶はすぐには蘇らず、友人の助けを借りました。
 最大の懸念は統合、組織変更した会社の方です。幸い、退社時にも世話になった後輩が花王グループの総務にいていろいろ差配してくれて、入社以来の経歴をうまく組織変更とまとめて記入、代表取締役社長印を捺して返送してくれました。
 高校からの50年におよぶ人生のエビデンス、自分史が完成したのは壮観でした。走馬灯のように見て、これが最後になるのではなく、さらに輝かしいページを加えていけるようにしたいとは思います。
 最後にオチではないのですが、これを提出した後、人事グループは証明を出したところに電話で確認をしてウラを取っていました。その上で、内線で「昭和57年3月21日卒業から、4月1日の入社までは空白期間になりますがアルバイトなどせず無職でしたか?」との確認「はい」と応えましたが、そんな40年前の春休み何してたか、覚えてないなあ(笑)。
 年金事務所では受給資格の足りない人に厚生年金にあたるバイトをしていたら年金が増える可能性はあって確認することはありました。しかしたかが経歴書そこで一週間強バイトしてたと言って何が変わるのかとおもいつつ、何してたのかなと回想しました。社会人になる前でドキドキだったのでしょう。

わかりにくい?定期便、ねんきんネット

 ねんきん定期便、毎年コンパクトに沢山の情報を盛り込んで、誕生月に日本年金機構から送られています。
 今まで、特に直近の年金納付がどうであって、どのくらいの年金額が振り込まれるかがコンパクトにまとめて書かれています。それでもこのハガキ、やはり分かりにくいので見ずに捨てるとか、どこかに行ってしまうという話もよく聞きます。
 それなりに年金の仕組みへの理解がある人にも不満が多い書式です。特に若い人には難しい言葉もあり、機構側がやっているアリバイ感が強いです。
 厚労省の公的年金シミレーターでおよその受給金額がわかり、ねんきんネットで詳しい情報がわかります。しかし、この二つの仕組みはどうも作り手や送り手が違うようです。政府管掌機関とは言え年金機構と厚労省直では違います。シミレーターの方が入り口としてはわかりやすく、あの表現が定期便のトップでいいと思います。いくら貰える見通しで、詳しい情報は都度そこからでいいのです。
 マイナポータルからねんきんネットに入る簡単な道筋ができたため、アクセスキーから入る従前からの仕組みが煩雑に感じられます。
 個人情報保護、セキュリィテイの問題はあるとはいえ、アプローチは大きく二つあると案内も難しくなります。
 さらにスマホからとパソコンからで説明画面も違うので、紙でのマニュアル的な説明は半端でない枚数になります。
 機構もねんきんの見込みを確認するのと、免除など一部の申請のオンライン化を進めています。将来的には年金支給の請求手続きもWEBでやれるように検討中のようですが、次のフェイズに行くにはかなりの高いハードルです。
 縦割りで横ぐしがない典型なのでしょうか。本当にちょっとした顧客目線、市民目線的な表示や表現に変えることで、毎年莫大な郵便料金や印刷料金を使ってることに効果を持たせられるのに残念です。

年金関係、社会保険関係の復習

 仕事としては、年金や労働、厚生労働省のお仕事は卒業したのですが、年金委員としてFPとしても、常に情報を上書きしたり、復習しておかないと記憶も悪いので勉強し直しです。
 年金に関するテキストめいたものは、さまざまありますが、それなりに勉強していただければ、言葉が難しく最初はとっつきが悪いですが、分かると面白いものです。
 高橋洋一さんは元財務相官僚で、小泉内閣、第一次安倍内閣で参事官ブレーンとして活躍、最近は動画投稿サイトでも頻出されています。
 著作は数年前になり、コロナ情勢などは加味されませんが、最近の彼のわかりやすい動画の背景になる肝はまとめて書かれています。
 老齢年金が長生きのリスクに対する保険であって、福祉ではないということが頭に入り、賦課方式が頭に入れば、年金制度の突然の破綻はないことが良く分かります。
 

 財務省や政府のウラからも見れば俯瞰的に良く分かる話です。マスコミやら財務省なのでしょうか、不安を煽れば、自分の立場が良くなる人は多いせいで、年金問題は複雑に見えます。歴史的な経緯から複雑化しすぎた日本のシステムの無駄の多さは、2冊目の下の写真の本でもわかります。鈴木亘さんは、日銀から大阪市の特別顧問や、東京都でも顧問として、西成対策や待機児童など福祉に精力的の行動された学者です。
 こちらはコロナ対策から生活保護制度、医療制度、介護崩壊に年金問題、そしてベーシックインカムと、皆が気になる社会保障の各論点についてわかりやすく解説し、自説も含め展開しています。5年に一度の年金改正法案が骨抜きなのは、この2冊を合わせて読めば良く分かります。
 年金とは離れますが、介護保険財政問題の解決策として、家庭内介護に報酬を払う案なども、介護休暇とともに政府はもう少し検討し、支援してもいいと思います。
 民主党政権は、そもそも経済も政治も分かっていなかったとみんなにボロクソに言われますが、マスコミの電波利権、財務と厚労などの歳入の一本化などマニフェストに掲げた命題は間違っていないだけに残念な面もあります。官僚の抵抗をあまりにも甘く見過ぎ、知識や実力の不足を知らずに進んだのが改革の頓挫の主因です。

 高橋さんの著書の後半にある通り、60歳から65歳、年金を支給されそうな時期というのは、同じ地域の学校、大学を出てさえ、大きな収入の差を迎える時期だということには納得します。
 そのトシで働けること、働ける仕事があり、身体などの条件があることも運命ですし、大きな収入があり年金に頼らなくてもいい人、年金と貯蓄などでそれなり優雅な人、年金でつつましやかに生きる人、年金も少なく無理に働く人。この世代の格差は非常に大きいです。
 彼は個人的な見方で、同じ年代で同じ学校なら能力に差は無いので【運】だと言い切ります。
 お笑いで、ビッグと言える大御所の目に留まり、才能を存分に発揮でき億の年収を獲れる人もいれば、芸は優れていても売れないまま夢を諦めて、貧しい老後しかない人もいます。
 この運、不運というのは、どの世界でもあります。そのためにも、しっかりと、生活基盤の最低ラインに年金があり、自助のためにもう少し蓄えないといけないのです。
 政府は、分母に税、社保料控除後の数字、分子(給付される年金)には控除額をいれない目くらまし的な数字で、年金の所得代替率を3分の2とか、6割だとか、福祉国家的アピールをしたいようですが、これは反って誤解を生みます。例の2000万不足問題はここが根幹です。
 定年後、ローンや子育ても終われば、今までの生活、付き合いや遊びを抑えれば、何とか年金だけで暮らせるだろうという幻想を産むのが、この所得代替率6割です。
 実際には値上げとか、病気、家のリフォーム、電化製品やクルマの買い替えとかいう以前に、年金から健康保険料や所得税、固定資産税やら引けば、元々手取りの所得代替率は4割です。

 高橋さんの、年金財政構造の、現役時代40年2割負担、年金世代4割受給で、バランスが良く分かると同時に、年金生活の意味が分かります。現役時代の4割程度のシュリンクした生活を覚悟しないと、年金だけではやっていけないのです。厚生年金40年でも、これですから、国民年金だけの方はもっと大変です。こんなことは100年安心の前から、わかっていたことです。国民年金の人まで含めて、2000万問題を炎上させ、総花的年金不信を煽った人の罪は重いです。

役所の申請主義 マイナンバーカードで簡略化の過渡期か

 やや難しい言葉でいうと、日本のさまざまな行政、社会保険などの手続きは申請主義です。
 申請主義とは
 サービスの利用に本人や家族からの自主的な申し出(申請)が必要であることを いいます。 申請主義に基づくサービスの利用においては、利用者が自分自身の問題について理解した上 で、必要なサービスを選択・決定し、その利用希望を表明することが求められるのです。
 役所や年金事務所での経験ですが、こういった仕事に関わりながら、いざ自分が逆の立場になると、めんどくさい上、そういえばこんな添付書類が要るんだと辟易します。
手続きを受ける側でお客さんに「マイナンバーが分かれば、役所はオレの情報なんてみんなお見通しじゃないのか」と逆切れされたこともあります。
 国民年金の保険料を失業特例で免除する場合なども、督促は何度も出します。未納者は自ら申告し、離職票やハローワークの失業給付の証明などの添付をすれば免除されます。受け付ける側はまさに、厚生年金の履歴で失業されたのはほぼわかっていることで、添付書類を求めると紛失しているケースもあります。再発行依頼を本人がして再度提出させるのもなかなかのハードルなのですが、それが申請主義の原則、ルールですからやってもらうしかありません。
 若干守秘義務にもかかりますが、当然、離婚して絶縁の配偶者の失業証明など、入手不可の場合など、年金と雇用の組織で連携すれば調べて対応する方法はあります。しかし、そういう事情が無い方は、自分で書類手配しないと受け付けません。
 めんどくさいお客さんに対して、裏技的に対応すれば、ゴネたらあそこではやってくれたと広まれば拡散して大変なことになります。その局面では親切でも、全国で統一するサービスになりません。
 年金の請求手続きに、住民票、家族の戸籍、雇用保険、通帳などがどれだけ、なぜ必要か、実際には調べればわかることも多いはずですが、これもルールです。相続や年金受給などは、間違いが許されないのは分かりますが、不正を行う方もしたたかに揃えてくるかもしれないので必ずしも抑止効果とも思えませんが。
 簡略化は出来ないと分かっていても、書類を早くそろえるのが意外と難しいものです。私が民間企業を定年退職した時は、有給を取る前の最後の出社日に、退職日(予定)を記入した離職票が貰え手続きはタイムラグ少なく進みました。
 ところが直近、2カ所では、離職票も社会保険喪失証明も相当な時間経過後に送られてきました。健康保険を切り替えるのに時間が経過するのは、持病で通院している人などは大変面倒くだいものです。
 離職票は賃金系計算があり正確に出すのは時間がいるのもわかりますが、社会保険の喪失証明はその場で出せる程度のものです。
 離職票も、離職月の賃金が結局未入力、手書きが多く、失業給付の際は直接やり取りされます。要は本人が持ってるかだけの話です。それなら、公務員の退職辞令同様、記入項目は離職しましただけでいいはずです。社会保険は扶養者や、健康保険など加入未加入ありますが、それを記入する欄を設けた離職証明書にすれば、一元化できます。
 転職をしたことの少ない方にはわかりにくい話ですが、ハンコをなくす以上にムダな書類を減らすことを考えないと行政もスリムにはできません。マイナンバーカードに保険証を統合するという、大きな改革を進め、セキュリテイや紐付け間違いで騒がれますが、一つ一つの申請の添付をこれからどう簡略化できるかということを、本当にわかって進めているのか、大小無数のハードルがあり、そのハードルが無くなることは市民の煩雑な手続きが一つ減るということなのです。

守秘義務スレスレで話します 役所の個人情報管理

 ある程度良識ある方は、公務員の仕事は、一見安定はしているけども堅苦く、何か問題が起こると非難の矢面に立たされる辛い面もある忍耐だとご理解いただいているのではと思います。
 もちろん、官僚の上の方へ行くと、俸給も高く、かといって政治家の顔色を窺って結構楽しでいるとも思われがちです。
 少なくとも、一般の国民にとって、ネットで呟けても、身近に文句を言える相手は、近くの役所や公的機関の窓口や電話に直接出た人です。
 そんな人に岸田総理や、デジタル大臣、官僚や市長クラスへの文句を言っても始まらないのはわかるのですが、世の中ボヤキたくなるこのは多いのでしょう。だから忍耐のいる仕事です。これは正職員も有期雇用の非正規も変わらないのがまた辛いところです。
 民間企業を定年退職して、何の因果か公的機関のお仕事をしています。その中で守秘義務があって、退職しても軽々には言えないこともありますが、違反にならない程度に、今騒がれているマイナンバーカードに関連した部分で、個人情報の取り扱いってどうなっているのかを書きます。もちろん、全ての役所の現場を知る由もないので、自分の経験や伝聞から、誰でも想像、推理できる程度のものです。

 前置きが長くなりましたが、結論をひとつ、
「役所、公的機関はマイナンバーカードやそれから導かれる個人情報をとても大切にしています」
 それは窮屈で、面倒くさく、時には残業になったり、細かなミスを糾弾したり、煩雑な申請を書き、承認や管理のハード、ソフトの仕組みがあります。
 もちろん、マイナンバーカードの連携による電子申請なども急速にできたものもあり、現場の省庁、役所にもよりさまざまな温度差や格差はあります。
 もちろん、映画やドラマに出てくるような超絶スキルのハッカーが侵入しないとも限れませんが、パソコンそのものからUSBメモリでデータが簡単に抜かれるようなことはできません。未だにテレビでは、USBメモリに大事なデータを移すシーンが描かれていますが、私が最後にいた会社もそうでしたが、その後の公的機関もパソコンそのものが基本USBメモリは使えません。挿し込むだけでウイルス感染するかもしれませんから、そんな甘い体制のところはもうよほど田舎の役場でもあまりないでしょう。個人情報管理の研修はどこもやらされています。そういう点は、過剰なほど手間をかけているので安心と断言できます。

「マイナンバーカードで、家族構成や所得の情報だってとれるのに、何で未だに公的な手続きにはいろんな書類が必要なの?」
 相続や、年金受給の手続き、扶養の手続き、マイナンバーカードで、一本化されたのに、戸籍であるとか、いろいろ添付書類を求められるのはなぜなのでしょう。役所の人は調べたら何でもわかるなら、いちいち細かいことを求めないで欲しいとも言われます。
 一部は過渡期だからかもしれません。しかし、この必要書類がいまだにいるというのは、法律で決まっているものと、先に述べたマイナンバーカードのセキュリティの強さ、個人情報の管理の裏返しなのです。
 マイナンバーカードを記入して、申請しただけで、その書類を受け取った職員が役所のパソコンを叩けばその人のあらゆる個人情報を見れるわけではないのです。
 例えば悪質な所得隠しや、財産隠しがあって、国税とかで調べるとしたら、マイナンバーから、上司を通して関係部署、いろんな手続きを踏んで閲覧許可や記録もとり、限られた時間と用途で、一切別の目的を外して許可が下ります。こういうことは、少し考えれば想像がつきます。
 ですから、マイナンバーカードを渡しても、ストーカー的な変な職員がいても、記入情報以上のことは調べられないし、落したとしてもそこから何かを引き出すことは難しいのです。
 そして添付書類が必要なのは、それが入手できることで本人である信頼度が高まり、手続き業務が早くなるのです。これも過渡期のものもあるかもしれませんが、仮に添付書類なしから、所得や雇用や家族状況にたどり着こうとすれば、1枚の申請書から申請が回るまでに担当者は大変なセキュリティを外す時間を強いられます。
 あとは添付による申請が、条件と決められているものです。年金の免除であれば、添付必要と「失業の証明」「所得激減を申告する申立書」と書かれてれていたら、「俺が失業したのは、あんたら調べたらすぐわかるやろ」「ウチの店が売れていないのは調べれば分かるはず」といっても決められたことだから、それには書類が要るのです。書類さえ添付されていればルーティンで早く流れることです。
 マイナンバーを書けば、名前も住所も要らないじゃないかと言われても。申請の名前の欄には本人の名前がないと申請書にはなりません。保険診療を受けるのには、保険証の提出が必要で、それがマイナンバーカードでできるようになったわけであり、マイナンバーの数字と、顔写真の入った運転免許証を持ってきて、「本人だと分かって、番号もわかるから、どうせ機械に番号を入れて診察させろ」と言われても、それは従来通りで保険証がないのと同じで不可能なのは、わかると思います。
 多くの添付書類も今の段階では、決め事と、マイナンバーカードからのセキュリティのためと迅速な処理のため必要なのです。
 そのために、役所の人は結構苦労して、煩雑で間違いなく面倒な仕事をしています。

マンション管理費、修繕積立金、理事は大変

 マンションはさまざまな人が入居され、世代や収入もまちまちです。
 容貌されることも全く、方向性が違い意見は合わないこともしばしばです。
理事会、理事やその役員に選ばれると大変で、何事もないことは少なく大規模修繕も大きな苦労でしたし、昨今の値上げなどで、施設の改修、更新などにも想定以上にお金がかかります。

 役員、会計をやっていて困るのは、こちら側になるとめんどくさいと分かっていて、普段は無関心、集会にも不参加、掲示板も見ていないしアンケートにさえ非協力、他人任せでいざ自分に値上げなどの不利益が来そうだと、噛みついてくる人が多いのです。
 理事は何をしていたのだとか、役員は管理会社と癒着しているんじゃないかと、あることないこと批判し始める。
 政治というのか、国や自治体の縮図のようなものが、小さなコロニーにもあります。

 マンションのステータスが保たれ、資産価値が上がれば管理費や修繕積立金が上がっても是とする主に現役世代と、支出の増加に過敏な年金世代や子育て世代などは、顕著な対立構図を見ました。
 南海トラフの災害などの備え、もっと修繕積立を増やせばという方はがいるのには驚きました。
 そこまでが、せいぜい保険で備えるべきもので、毎月の支出が増えて、可処分所得が減るのは現役バリバリ世代でもリスクです。年金だけの世代は不安と揶揄されますが、年金は物価や賃金に多少遅れてもスライドして上がります。令和3年度から4年度で、月22万のモデル世帯の夫婦ですと、月4,889円上がっています。その前はデフレで賃金が抑えられる時期が長かったので年金支給が上がるイメージは薄いですが、令和4年から5年はもっと物価や賃金が上がっているので年金支給は今年よりかなり増えます。
 リスクでいえば、南海トラフよりも現役世代で怖いのは、リストラや倒産、事業の縮小、廃止などで、収入が急に減ることです。この可能性の方が、どんな大会社や優良事業でもあり得ます。現実にここ3~4年ですと、コロナ禍という想定外でかなりの倒産が出ています。
 年金は国が破綻しない限り、支給され続ける仕組みになっています。不安なのはむしろ現役世代なのです。

年金の男女差2 遺族厚生年金 労災遺族補償年金

©東京新聞

 老齢年金の受給開始時期に男女差があるという話を前回↓書きましたが、もう1点,年金制度で残る大きな男女差が遺族厚生年金です。
 自営の方などの国民年金の場合、遺族基礎年金は子供が18になるまでの養育の意味合いで男女差はありません。逆に子供がいない場合は一切年金遺族基礎年金はありません。子供がいない場合でもサラリーマンや公務員の働き手が亡くなった場合貰えるのが遺族厚生年金です。
 ところがその支給条件に男女により差があるのです。
 遺族厚生年金の受給額に夫婦間で差があることを知っているかとの問いに65%の方は知らないと回答されていました。
 遺族厚生年金の受給要件には男女差があります。男性は妻の死亡時に55歳以上でなければ受け取れず、支給は原則60歳からとなります。女性は夫の死亡時に30歳以上であれば、子どもの有無にかかわらず受給できます。
 妻は30歳未満でも、遺族基礎年金の受給対象となる子どもがいれば、同様に生涯受け取れます。子どもがいなくても5年間の有期給付があります。
 厚労省の21年度の調査によると、遺族厚生年金の受給者は女性が94.5%を占めています。
 なぜこのような男女差があるかというと、1970年代はまだ、男性は働き女性は家庭にいるというのが当たり前の時代に制度ができました。女性が取り残され否応なしに働くというのは酷な時代でした。現在は、女性の社会進出が一定程度進んだとして改正の動きはあります。しかし、未だに労働人口割合の差、賃金格差や雇用形態の違いという日本の現状があるため、この制度で違憲というまでにはならないようです。キャリアウーマンでダメ亭主を養っている場合に奥さんが無くなると、夫君は心を入れ替え働かないと悲惨なわけです。夫の死後の厚生年金は妻が65歳以上の場合は①夫の老齢厚生年金の4分の3②夫と妻の老齢厚生年金の半分ずつ③妻の老齢厚生年金――のうち最大額が自動的に選ばれます。
 夫の方は会社員だった妻が亡くなれば、子供がいた場合だけ18歳までは遺族基礎年金が夫に出ます。そしてこの期間だけ、遺族厚生年金が子に支給される。でも子供が18歳を過ぎたら両方ともゼロになります。大学の費用などは一人で賄うしかないのです。そして老後も自分の分だけなので、夫婦で働いてダブルインカムでの基盤が当たり前である程度妻の割合も高めだった場合、けっこう苦しいかもしれません。
 確かにこれでは、籍は入れていたがしっかり働ける女性にとってもこの制度は違和感があります。2025年あたりには改正がありそうですが、完全に男女平等とするのでしょうか。
 女性の働く機会が増えた現在、十分な移行期間を設けた上で、現在の「無期給付」ではなく、自ら働いて稼げる現役期に遺族になった場合、男女ともに期間を限定した「有期給付」にそろえるやり方が考えられます。遺族の生活立て直しを図る一時的支援の役割を重視した有期給付とした上で男女差も併せて解消するなどのやり方が検討されると思われます。現在の給付は男性が厚生年金を納めた分が反映する割に、女性の働いた分は評価されない点もあり、男女の満足や機会均等を考えても進めることはできると思います。
 勤務中や通勤での労働災害の場合の遺族補償年金の条件も、基本同じ男女差です。
 
 あと、一般の保険なども、これだけ夫が亡くなった時の公的保障が多い割に、昭和のイメージで稼ぎ頭の夫だけに保険を厚くしておこうと、やや無駄な支出をしていないかも点検しないといけない部分です。
 FPで家計の診断、見直しでよくあるのが生命保険、医療保険の公的支給を理解してのリストラです。
 公的な保障、年金を補完するのが民間の保険なので、障害年金の支給条件をよく知っておかないと損をします。
 年金の問題は、煩雑ですが、財政をしっかりさせるのと、保障すべき人に公平的確に給付するように時代に合わせ法改正が必要であり、啓蒙も必要です。また一般の方もリスクや将来の生活設計にどういう給付があるかをよく知っていただくべきこところです。

年金の男女差1 早くもらえる女性 #年金の話 – 天使の星座 (seizafpkotodama.com)

年金の男女差1 早くもらえる女性 #年金の話

 地域の年金委員を拝命しているので、これから年金の話や、相談例などを時々書いていきます。
 私もようやく、今月から報酬比例部分の厚生年金を貰えるようになりました。
 ときどき、疑問を投げかけられます。「男女均等と言いながら、何で女性が先に年金貰えるの?」「男は損じゃない差別だ」というものです。
 実際に昭和34年生まれの私と同じ年代の男性は64歳からやっと、1年足らずですが65歳前に貰えます。図の下から2番目です。
 ところが、同級生になる女性はこの表の3つ上、つまり61歳から貰っています。
 そして、男性は昭和36年4月2日以降生まれ今62歳以下の人は65歳になるまで貰えないのに、同じ生まれ年でも62歳から女性は貰えます。
 ???
 年金の財政や働き方の状況などで年金支給が段階的に65歳になるのは分かりますが、この男女差は何なのでしょう。
 女性の方が平均寿命は長いので、国が支払う年金も増えるじゃないのに何故と嘆く男性もいました。
 確かに、同じ会社に40年以上働き続けた独身の男女がいて今60歳を超えた年齢だとすると、何で!となります。
 ところが、当時のその年代の人が働きだし厚生年金に加入しだした頃は、年金支給は55歳でした。年金の受給開始は4年刻みで徐々に60歳に引き上げられましたが。当時も定年から年金受給までは、扶養や退職金、蓄えでしのぐ期間のあった人も多かったのでしょう。今よりは定年まで勤めあげての退職金の割合は大きい時代でした。そんな中、女性が勤め上げるケースは稀でした。
 50歳ぐらいは当時の概念は老人で退職される方も多く、定年は男性55歳、女性50歳だったのです。年金受給開始時期の差は、この時の差を反映しています。
 定年が60歳に義務化されたのは平成10年です。今50歳より下の人はもうそれが当たり前で入社されているので、男女差はないのです。