「あずさ」と「やくも」

 鉄道バナシで興味のない方も、♬8時ちょうどのあずさ2号で~というサビの昭和歌謡「あずさ2号」という曲を聞いたことのある方はいるかもしれません。いずれにしろ随分古い歌で1977年だそうで、私が高校生の時、学園祭で友人が唄っていた記憶がかすかにあります。
 昔は、JPOPなどと言わず、歌謡曲が全盛でした。ロックやフォーク。JPOPでもバラードはあるので、こういう歌謡曲とどう違うのかとも思います。今聴いてもせつない歌詞で、サビが力強く盛り上がり良い曲です。
 翌1978年に特急のナンバリングが下が奇数、上りが偶数に統一され、あずさ2号は甲府発になり、8時ちょうど新宿発は今でも存続しますが、わずか1年半で2号ではなく「あずさ3号」になっています。
 ベージュっぽいクリーム色にオレンジのツートンの国鉄特急色でデビューした車両はJRになって、改造グレードアップされた車両を経て、JR化後の新型車両、タキシードボディと称えられてE351系が振り子式構造を持つ速達型のスーパーあずさに投入されました。その後、全国鉄型車両を置き換えるため2001年にはE257系が投入されて、中央東線から国鉄型あずさは臨時を除き2002年に引退します。
 そのJR化以降のE351系、E257系も2017年にさらに新型の5代目E357系(写真)車体傾斜機構搭載の車両が投入されると2019年までに速達タイプ含め一気に置き換わり、全「あずさ」「かいじ」が最新鋭の車両に統一されました。
 これがJR東日本のお話、東日本も東北上越北陸の新幹線と、首都圏の通勤輸送を担うとはいえ、東北や関越のローカル路線も多く抱え、東海道新幹線ほどのドル箱はない中、常磐線「ひたち」「ときわ」と並び、中央線の在来線特急によく注力しています。
 ところが、同じく新幹線と大都市通勤、赤字ローカル線を抱えたJRでも西日本は、振り子特急でなんと国鉄型がまだ健在です。


 来年以降順次置き換えと言われますが、岡山と島根県出雲を結ぶ新幹線から陰陽連絡と特急「やくも」は塗色こそ替えていますがあずさ2号が唄われた1972年頃の同期が走っていて、ラストランを惜しみ訪れているファンもいますが、愛用者地元には失礼な東西格差です。
 首都の中央駅と、新幹線が止まるとはいえ地方の岡山発では比べると人員数は大差です。それでも中国地方の中心の県庁所在地岡山からの特急です。
 さすがに東日本はJR化後の新造車両も淘汰して2代も3代も代替わりする中で満を持した新型車両なので、JR西日本の意気込みは感じられるビジュアルでスペックでしたが、JR化30年くらいの差がついた状況での投入です。
 旧車両は安全面、乗り心地などさすがに限界ではないかと思います。いくら懐かしい走りとかノスタルジーを求めるマニアがおろうが、早くとっかえて欲しいものです。
 たしかに国鉄の時代の懐かしさというのはあります。
 日本がまだ発展し続けて、地方でも駅や電車に人が溢れ、迎えに来る人、送る人に温かみがあった時代のなごりが、来年の春にはいよいよ消えます。
 そんな時代を、もう日本人は昭和歌謡とともに旅立ち忘れてしまったのです。

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