正義か悪か分からなくなる

正義とは1

初代ウルトラマンも、交通事故の被害者の霊が乗り移った高原竜ヒドラには必殺技を使わず逃がしました。人間が宇宙で変身した怪獣ジャミラには、後輩にあたる人間の隊員がためらう中、無情なウルトラ水流で攻撃しました。その他子供の夢ガバドンや、雪んこを助けるウー等、倒すべきではないような怪獣の回もありました。
ウルトラセブンが子供には一時不人気だったのは、宇宙からの侵略者一辺倒なのと、ストーリが大人向けの難解なものがあったからだと言われています。
ただこれらは子供の夢などの歪みを是正する役をウルトラマンが請け負ったとも言えます。
ウルトラマンで侵略宇宙人はバルタン星人、ザラブ星人、ダダ、メフィラス星人、ゼットン星人の5人で6話(バルタンが2話)だけです。セブンはほぼ全話侵略宇宙人が登場。怪獣のような巨大宇宙人との直接戦闘もあれば、人間体の星人に操られる巨大な怪獣との対決もあります。
そしてついにウルトラセブンに至って、どちらが正義か悪か分からないストーリーが子供心に衝撃というか、問題を投げかけます。
そうです。日本のヒーローは決して勧善懲悪ではありません。怪獣や宇宙人=悪という図式ではなく、正義と正義も戦うことがあったり、正義と思っていた人類が実は悪、侵略者だった。
世界の正義、警察のようなアメリカも、インディアンを侵略し多くの中米や太平洋にも植民地や統治地を持っています。
日本もかつてアイヌや沖縄、朝鮮、台湾、満州、中国、アジア各地を力で支配してきた時代があります。
ひとつの国から見た自衛の戦いもいつの間にか侵略戦争に変わってしまう。
本当の正義とはなんでしょう(2へつづく)

ヒーローの敗北:ウルトラマンがゼットンに負けた

初代ウルトラマンは、苦戦することはありましたが、ジャックやセブンのように途中で負けて磔にされたりとかはありません。ゴモラに一度優勢負けで逃げられたり、メフィラス星人とは決着つかずがありますが、後はすべてに勝って最終のゼットンとの戦いを迎えます。しかしその前から必殺と言われたスペシウム光線や八つ裂き光輪が通じない相手も現れて苦戦が増えてはいました。
ゼットンは地球防衛のベースといえる科学特捜隊基地を襲い、ウルトラマンは回転してキャッチリングで動きを封じようとしますが、怪力と熱球で外されます。
そして戦いはやはりゼットンの強靭な身体の戦闘力と、テレポートやバリアまで使い、光線を弾き返す能力についにウルトラマンは敗れます。
格闘家の前田日明他当時の小さな子供も相当なショックだったようです。
最終的にゾフィーが命を持ってきて、ウルトラマンが宇宙に帰り、ハヤタも命は取り留めます。私はこのときハヤタがウルトラマンに出会ってからの記憶をなくしているのがショックでした。
どんな強い者も敗れる時がある。そして死の時がある。
身内が亡くなったりした機会がなく、著名人や友人のおばあさん等の死はイマイチ実感できなかったのがテレビのヒーローの死と敗北でわかることがありました。
死とは記憶をなくすことなのかとも思いました。

気持ちよく退職しましょう

定年退職ともなると、人それぞれさまざまな気持が湧きます。
基本的には後輩たちに送りだされるのです。場合によってはまだやりたいとか、不満や愚痴ももらしたくなりますが、それを言っては始まりません。というかもう遅いです。
定年でない退職も含め、勤め上げたことに感謝し、組織や人に気持ち良く笑顔で別れを告げ後を託しましょう。
心もスッキリして、卒業し次の事を考えないと、不満や鬱憤、愚痴、やっかみ等漏らしたって心が濁るだけです。課題はしっかり引き継ぎ、飛び切りの笑顔と爽やかな気持で去っていければカッコイイ。天使が舞い降ります。

ウルトラマンの使命

ウルトラマン第一話「ウルトラ作戦第一号」宇宙怪獣ベムラー

ウルトラマンは、極めて個人的な理由で地球に留まった。後年宇宙警備隊という後付もされたが、宇宙全体の平和等ではない。
初代ウルトラマンは宇宙死刑囚怪獣ベムラーを護送中に地球人の科学特捜隊ハヤタ隊員を誤って殺してしまい、自分の命と合体することでハヤタを救うために地球に留まり、結果としてハヤタとともに人類のピンチを救います。
ウルトラセブンは宇宙の地図を作る伊能忠敬みたいな恒星観測員が、侵略者に狙われる地球のピンチを知り、友人のために命を投げ出す薩摩次郎を助け、その勇気に感動し、彼をモデルにモロボシダンという青年の姿になり地球防衛軍ウルトラ警備隊に入ります。
その後のウルトラマン概ね、地球人の姿に感動して憑依や変身して地球を救うため命がけで戦います。
この記念すべきウルトラマンを地球にとどめたのが宇宙怪獣ベムラーなのだが、悪魔のような怪獣と言われるわりにはやや不満が残りました。トカゲ型の平凡な怪獣で、光線は吐くもののそれほど強敵とも思えません。しかも怖れられるほどの知性や戦闘力が感じられないのです。バルタン星人やダダのように種として征服を試みるのでも、ジェロニモン、メフィラス星人のような配下がいるわけでもないです。
ぶっちゃけジラースでもギャンゴ(着ぐるみはまさにベムラー流用)でも変わらないのですが、やはりベムラーはあれで良かったのでしょう。
記念すべき最初のバトルです。
誰かのために戦うことが地球のためになる。カッコイイヒーローの誕生が、多くの子供たちの胸に響いたのです。その想い、大きくなっても忘れたくないです。

ノムラの教えと生き方に学ぶこと

昭和の野球キャッチャーで名選手、後の名監督野村克也さんが亡くなった。
多くの戦術や組織やリーダー論の著書や講演でも知られます。
一度講演を聞いたが、全体の講演会のテーマとは関係なく、著書などで語られたテスト入団から首になりかけてからの苦労、王や長嶋との因縁、古田への指導、イチロー対策等聞いたような話を面白おかしくかいつまんで話しておられた。
亡くなられたので、各方面感謝と称賛と弔いのコメントの嵐だが、アンチ野村の筆頭張本勲はかねがね、王や長嶋をあれだけネタにし虚仮にして稼いでいると非難していました。
戦術面では優れている部分もあるし、ランチェスター戦略の弱者が強者に勝つ方法の実践でもあります。
ノムラさんも神ではありません。南海解任時期や阪神で3年連続最下位等、失敗と呼べる時もありました。ヒゲや金髪を嫌う等時代としてもだんだん合わない指導もありました。
どこかにある甘さ、優しさ人情味が江夏、門田、新庄等ノムラ流をある意味外れながらも育ちました。
貧しい母子家庭に育ち、大変な苦労をし、戦略を立て、ものすごい努力をされたのは間違いない。
そして指導者としても、部下と飲み食いしない派閥を作らない、えこひいきしないところは徹底していたそうです。コミニケーションはグラウンド(仕事場のみ)だけ、ノムラ流の経営戦術やリーダーシップを学ぶ人はここが抑えどころです。えこひいきはメリットデメリットを考えるとデメリットの方が多いのです。ところが弱い人間は子飼いやイエスマンを可愛がって組織を弱体させてしまいます。

アイヌ:日本に蔓延る無智、誤解からくる差別

今期の直木賞受賞『熱源』(川越宗一)は樺太アイヌが描かれ明治日本が戦前まで文明という名の暴力で近代国家に肩を並べる時代を描いています。
ポーランドやロシアも含め激動の近代史と、あまり語られない樺太アイヌの世界が、少しでも多く方に伝わればと思います。
一方閣僚の中にも『日本は単一民族』と平気で発言する、無智でお馬鹿な方もおられます。政治家はナショナリズムに意図的に働きかけているにしても、いわゆる国家主義、愛国主義の方々、ネトウヨという人らがあまりに単純で歴史知らず、誤解しぱなっしの勉強不足があります。これが政治的行動になるのがある意味怖いです。
民族という面ではアイヌもですし、そもそも国家は帰化人などいつからの外来人を日本人とするのかにもよります。
古来土着の民は文明のある強い民族に支配され、土地っを奪われてどんどん追いやられていきました。
中国の一党独裁や朝鮮半島の迷走はあるにせよ。近代、戦前は朝鮮、台湾、樺太(南半分)は日本の領土であり、朝鮮人は大日本に住む日本の仲間でした。
大日本国にはさまざまな人種がいたのに、講和条約で領土が狭まるとさも大和民族の割合の多い地域だけになっただけです。それでもアイヌも在日朝鮮人もたくさんいます。
中国を嫌う人も、遣隋使、遣唐使や元寇、秀吉の大陸攻撃、日清戦争、満州事変、日中戦争は歴史として覚えています。日本と中国は学び合い、時に争う、東アジアのライバル国でした。
差別や争いの結果はいいことであったためしはありません。

『君たちはどう生きるのか』と聞かれてどうします

一昨年でしたか、唐突に児童文学者で吉野源三郎の教育古典が注目されました。哲学や社会、宇宙、人間などのい物の見方を旧制中学二年15歳コペル君の目を通して読者に語りかけます。
生きることに迷ったからと言って全て解決できるか本とは言いませんが、何か進む道や進む方向が分からない人に読んでほしい。
戦前のこの中と同じく、今でも多くの労働者がそんなに恵まれず汗水垂らして苦労しているいろんな工場や施設等いろんな職場があり、仕事をしてくれる人がいるから食べ物や機械や製品、道路や鉄道もできる。世の中は回っているが、決して中心は貴方ではない。しかし社会はそれぞれの人の働きで回っている。
その中で貴方はどう生きるのか。
訃報や大災害で、自分より先に命を落とした人の分,早く目標を見つけてそれに向かってコツコツ積み上げていきましょう。 自分が最初にいた地点には、貧富などの差があります。少し高いところにいた人はさらに高みを目指すのは当たり前のことです。

『2020年の挑戦』『変身』『鳥を見た』巨大化の原点【ウルトラQ】

ウルトラシリーズの記念すべき第一弾【ウルトラQ】日本における怪獣特撮、特撮ヒーローや怪獣宇宙人の原型を作りました。
外国から見て、まあ普通に科学的に見ても、どうも日本の特撮の変な面に、質量保存の法則など無視して『突然巨大化する』ところがあります。なにしろほとんどの宇宙人のプロフィールが身長2メートル~40メートル、体重100キロ~2万5千トンとかなのである。これは成長とか、個体差でなく、一人が突然自分の意志等で巨大化する。周りの空気から元素ごと取り込むとかの無理な後付もされるが、突然変異とかではなくいきなりの巨大化するのです。
第12話 過去から来た幽霊船に棲む文鳥?が巨大化する『鳥を見た』
第19話、ケムール人の登場する『2020年の挑戦』
第22話、モルフォ蝶に巨人化される男の話『変身』
ケムール人の疾走は何だかトラウマになりそうな怖さでした。今年がその2020年ですが、2020年のお話しではなく、肉体の衰えた2020年に時間のケムールという怪物(宇宙人ではなく未来人説もあり)が地球の若い肉体をゼリー状に溶かして奪いにくるようなお話しです。
そのケムール人が警官の攻撃で一時倒れ死んだかに見えるのですが、1.9メートルからいきなり30メートルの身長に巨大化します。
これが最初と思っていたらその前の第12話『鳥を見た』のラルゲリウスという怪鳥の巨大化が怪獣巨大化の始まりでした。
宇宙人?の巨大化がケムール、人間の巨大化が22話の【巨人】です。
巨大化は映像的インパクトがあり、怖さや絶望的なまでのスリルを見るものに与えますが、過食や放射能、薬の影響などで徐々に巨大化するならまだしも、いきなりは少しご都合主義を感じますが、これがウルトラマン巨大化の元なのです。
究極の変身願望が巨人化なのでしょうか。『変身』は巨人になっても恋人を追い続ける女性の切なさも描かれますし、そのイメージはまさに数十年を経て漫画やアニメで超有名な巨人につながるような気がします。
蝶が集まって何で人を巨大化する毒を出すのかは不思議です。ラルゲリウスの檻や籠をぶち破る巨大化も、食事もしないのになぜか、全く大きくなれる理由は不明。ツッコミはしたくなりますが、お約束なのでしょう。
日本の特撮はここから巨大ヒーローと巨大な怪物との闘いが中心になります。これは東宝円谷に限らず、戦隊ロボ等の東映やピープロも含めての日本特撮の伝統となります。後に語る社会問題的な秀作でもお決まりのように巨大化は出てきます。


『宇宙指令M774』(ウルトラQ)ウルトラマンの原点にして移民のテーマも

ウルトラマンに教えられた大事なこと2

ウルトラマンシリーズにつながる第一弾の円谷特撮シリーズ『ウルトラQ』巨大なヒーローは登場せず、アンバランスゾーンを描いた、空想やファンタジー、ホラー的な連続ドラマだったが怪獣登場の話が好評で怪獣路線となっていきます。
その中でも宇宙人が登場する話がいくつかあり、ウルトラマンの原点ともいえる正義の宇宙人が登場するのが、ウルトラQ第21話『宇宙指令M772』です。ストーリーはややご都合主義というか、粗削りで現在の科学やSF知識等のある者などにはつっこみどころ満載ですが、まだまだ宇宙や異星人のイメージすら周知されていない時代ですから、甘受しないといけない点はあります。
後のシリーズのように防衛組織もなければ隊員が主人公でもなく、新聞社カメラマンとセスナパイロットの民間人が常に事件に巻き込まれ怪獣と対峙するところにそもそも無理があります。この回も正義の宇宙人ルパーツ星人ゼミは、キール星人の怪獣ボスタンングの地球侵入をなぜか主人公に人形で伝えたり、セスナで拉致してレコードで伝えたり、結局図書館員になって話します。
ゼミはとくに超常能力がありそうでもなく、主人公らと海上自衛隊?の護衛艦クラスに乗り込み、客船のピンチを予言するだけ、怪獣もエイの大きなモノであっさり航空隊の爆撃で霧散します。
その後ゼミは、このまま地球に残ることになり、変なサンダルだけが強調されてどうやらゼミのような異星人の移民はあちこちにいるという足元だけが映り唐突にエンド。キール星人は出てこないし根絶はされないが、ガラモンのように次回の襲撃もなし、そもそもボスタングクラスでは地球の攻撃など、ルパーツ星人いなくても無理のような感じでした。
ただこの正義の宇宙人がのちのウルトラマンの設定につながります。これは日本人にとって、かつては大陸からの帰化人にさまざまな文化を伝えらられ、近世以降も西洋人等にいろいろ侵略を受けながらも、文明を享受された経験を受けての話のように思います。
宇宙人の侵略は小国の植民地化、元寇や黒船、敗戦トラウマにも通じ、正義の宇宙人は国連等の世界平和への願望にも繋がるものがあります。
日本は島国ではありますが、決して単一民族ではなく、アイヌをはじめ先住民、帰化人や移民も含め様々な民族がいたのです。
宇宙人の帰化にはそんな思いが表現されています。

オリンピックは無事開催できるだけでよい

新型コロナウィルスの状況も刻々と厳しいものがあります。
東京オリンピックは今回ホストとして、無事安全に開催できれば、メダルの数とか記録はいいよと思います。国威掲上等どうでもいいのです。震災から復興した安全な日本を世界に見せればいい約束でしたから。
原発事故のフクイチ地区、非常事態宣言は半永久に解除はできないものです。御潜水の問題も海洋に流すしかないのです。あと一巡し、オリンピックは見れても今生きている人類が福島の安全宣言を聞くことはないでしょう。
それでも私は原発を全否定、オリンピックの開催を否定はしません。元気のなかった日本がもう一度復興をアピールして、世界にオモテナシの文化を伝え、景気を盛り上げることは大事だと思います。これはIRやリニア、大阪万博でもそうです。
ただ一部の資本、関係者、外資や土建屋だけが儲かるのではいけません。今も過酷な立場の被災者の支援、復興に役立てる部分を骨太の中央に据える前提としてです。
そして世界中の人が平和に集まることに意義があります。
ロシアもドーピングで厳しいですが。たとえば、中国を閉め出し、卓球でメダルが沢山取れたところで、世界選手権の価値もないでしょう。
オリンピック精神「文化・国籍などさまざまな違いを乗り越え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって、平和でよりよい世界の実現に貢献すること」
もちろん、頑張ったアスリート、支援したかた、出資した方、楽しみにされている方もおられますが、世界の方が無事集合され、その時点で最高のパフォーマンスを見せられれば良いでしょう。4年に一度ですから1940年の東京辞退、1980年のモスクワ不参加等一度パスしてしまうと選手のピークは大きく過ぎてしまいます。
それでも何らかの形で、日本のスポーツ、オリンピックを応援し続ける元アスリート達にオリンピックは支えられています。その人たちも平和と安全は第一条件、今も福島の復興が遅れていることも心に留めておいてほしい部分です。