4月を迎え

 4月やはり、オフィス街や官公庁に向かう真新しいスーツの人、手土産を持った人などが電車にも目立ちました。
 気合を入れて、職場に行きましたが、想像通りかそれ以上に人や机周り、パソコンも変わると混乱も多く、自分の理解力不足なのですがイライラも募る1日でした。
 それでも、1年1年毎にこういう桜をみながら、緊張と不安と期待の中で初々しく迎えることができるのはある意味幸せかと噛みしめていました。
 なかなか世間には残念なニュース、怒りたくなるような話もありますが、毎年それでも黙々と花を咲かせるごとく、泰然とありたいものです。

子供歌舞伎と重機工業の街

 入社して3~4年も頃、広島での営業時代の取引先の社長さんが、大変厳しくてイヤな人だったが、写真が趣味で滋賀県に異動になった時、長浜の子供歌舞伎はすごく被写体としていいと話をされていました。
 その時に、長浜のものと、石川県小松の「子供歌舞伎」の写真を自慢気に見せてくれた。その眼はいつもと違い優しく微笑ましいので、美しい子供の化粧をした姿が撮られていました。

 40年前の話で、正確ではないかもしれませんが、長浜の方が男の子ばかりで芸の舞台としては本格的で、小松市の方は女の子もいて妖艶で美しく、甲乙はつけがたいという話でした。
 先日、小松市に新幹線が開通した関係で、曳山の資料館を訪れて、子供歌舞伎の映像を見ました。
 日本3大歌舞伎という、煌びやかな美しさがあり、曳山や山車のスケールでは京都や博多などの大都市に比べて可愛いものですが、この伝統芸能の美しさと侘しさには何とも惹かれるものがあります。長浜も小松も10万ぐらいの人口の地方都市で、観光を支えるにも過疎、人口減少、高齢少子化に悩むところです。それでも子供時代に郷土の芸能、文化に関わったことが地域を支える力になりそうなのは素晴らしいことです。
 小松市は工業もあり、被災の北陸、石川県を何とか牽引して欲しいものです。新幹線はできてもJRの在来線はなく、駅前も開業2週間の休日でさえそれほど人気はありませんでした。イオンやドラッグストア、ファミレスチェーンは郊外にあっても、中心街の商店街はシャッターが閉まっているのは他の地方都市の御多分に漏れずです。
 観光資源のさらなる認知をはかり、首都圏からも今年の祭には多くの人が来て賑わい、日常的にも観光、文化、産業と街の再生につながることを期待して帰路に就く旅でした。

明日から新年度となります

 近所の公園や川沿い、学校などのソメイヨシノがまだ咲いていない珍しく遅い桜の開花時期というこの春です。それでも明日から否応なしに4月、新年度です。
 年度が変わっても、あまり影響の無い人もいらっしゃいますが、季節と同じで社会も確実に変化を迎えます。
 学年の同窓たちは、また一つ誕生日毎に年齢を重ねていきます。
 明日の新聞では教員や公務員などの人事異動だけでかなりの掲載があります。民間の企業の入社、異動を含めるとかなりの数の人が新天地、新たな学校、学年、組織に変わるのです。
 私の所属している裁判所で仕事をされている人びとも、裁判官、事務官など全国で入れ替わります。


 社会全般で、公示されている法律の改正、制度や基準も年度で変わるものがあり、ほぼ全ての人に大小影響があります。
 話題になっているところでは労働法で、残業労働時間の業種、職種での暫定猶予が終わり、運転手や建築作業の業界が、人手不足や配達・納期、工期の遅れが懸念される2024年4月問題があります。お医者さんも対象です。すでに対象なのに現実は上限超えでブラックのままという業種、職場もさらに厳しく処分されそうです。
 働く側からはサービス残業、サービス休日出勤が当たり前で、有給も産休も育休も取れなった昭和から見ると隔世の感ですが、それはそれで経営や管理側からは難しい面が多そうです。
 
 年金世代の私などの興味は社会保険ですが、年金も、給付金額が変わるのと、10月に向け厚生年金の小規模事業所でも短期労働者に社会保険加入が義務付けられます。
 これも経営者は負担でしょうし、最終的にはパートの人の年金は負担が減り貰える金額が増えるのでしょうが、大きく増えるものではなさそうです。
 年金を貰いながら働く人のいわゆる在職厚生年金も、支給停止額基準(標準報酬額+年金支給月額)が48万円から50万円に上がります。
 それでも、なかなか就労意欲の境目とは言い難く、高齢者に働いてもらうなら早急に撤廃すべきと思う案件です。

 遅い桜を今年はゆっくり愛でながらも、世知辛い慌ただしい4月になりそうです。

立件の金額基準?100円でもアウト!

 自民党の地方議員や支持者に風当りが強いのは当然でしょう。さらに今、納税や社会保険料、公共料金の支払いを促す関係の全国の公務員や機関の方に対して「国会議員が何年も払っていないのに私たちにはそんなに厳しく取り立てるのか」と不満をぶつけられるケースも多いのではと思います。
 自民党の裏金議員に対しての処分も党内で検討はされていますが、検察庁側も金額による立件の基準が2千万円?なのか高額で時期も金額もあいまいです。
 普通に滞納の税金や、懈怠過料で考えると、せいぜい1年はうっかりがあっても2年以上は柚許されず200万円以上なら悪質で立件しても良いと思います。国会議員を立件するのは政治的案件になるとはいえ、追徴に関しては機械的に科していくべきでしょう。4年以上500万円以上は立件で刑事罰が妥当です。
 一般サラリーマンの年収が400万円代なのに、1000万円も申告していないのは国民目線でもアウトですし、法的、道義的に許してはいけないです。5億とか100億とか松本人志や大谷翔平は貰っていて憧れはあっても、1万、2万の納税に苦しんで節約する人が多い世の中です。

ワンダラーアウト!という意味 – 天使の星座 (seizafpkotodama.com)

メンテナンス悪い公共施設

 民と官の違いなのか、公共施設や公共交通機関の清掃やメンテンナンス、修繕工事などが実に杜撰だと感じます。
 築20年の家やマンションだと、リフォームや修繕工事をして小ぎれいになるのに、赤字自治体が多いとは言え公共のものはそういう面では10年も過ぎれば劣化が目立ちます。利用する人が多いと言えばそれまでで、メンテナンスにもお金がかかるのですが、それは予算計上や監視をすればよいことで、見栄えが悪いのが放置されるのは安全性にも疑問が残ります。昔よりも バリアフリー化も進み、トイレなどもキレイになり設備も進化した分、維持費もかかるのでしょうが、清掃の仕方を見ていると雑だなあとも思います。
 市長や知事、議員や役人はもっと目を光らせるべきですし、市民の安全と快適さを追求してこそその町に住み続けたいと思い税収も上がるはずです。
 

北大阪急行 大阪万博54年後の延伸

 
 1970年の大阪万博、東京五輪と同じく来年以降は「前の大阪万博」とか「昭和の万博」と言わねばならなくなるのでしょうか。
 私は1959年生まれで、1964年の東京五輪には物心ついていず。1970年の大阪万博は小学生で何回も行き覚えています。二度の大阪万博を体験できる世代はそう多くはないでしょう。私の祖母や父母の世代は既に亡くなり、「前の大阪万博」だけしか行っていませんし、今の大阪府知事はじめ55歳以下の人は今度の万博に行けば当然初めてとなります。
 54年の時の隔たり、世代の交代は大きいものです。
 その1970年の大阪万博輸送のために、できた鉄道に現在の大阪メトロ御堂筋線に直通する北大阪急行というのがあります。大阪市域外に御堂筋線が延伸できないため江坂から千里中央までの5.9キロの路線で、阪急の子会社で大阪府も出資している第三セクターの鉄道です。
 その北大阪急行が次の万博は来年目前にして今年2024年3月千里中央から箕面萱野駅まで54年ぶりに延伸しました。延伸に次の万博は関係ありません。
 わずか2.5キロの延伸に54年かかったことには驚きますが、建造物や撤去されていなかった旧世紀の工事の壁が邪魔になったり、さまざまな事情があったようですが、大阪の中心街に直通できるベッドタウンですから地価は爆上がりでしょう。
 少し老朽化した千里ニュータウン周辺は千里中央駅が始発駅ではなくなりますが、住んでいる人もまさかの延伸に驚きでしょう。そんなものできる訳がないと思ったまま亡くなっていった人も多いでしょう。
 今、各地に計画線、工事中の路線、未成線、反対により頓挫しているものも含め、15年後はどうなるかとか思います。
 それが50年ともなると私も含め、もう今に情勢も関わる人もいなくなります。そんな時にひそかに開通するかと思うと長生きしたいとも思います。

サプリや、機能性食品、ダイエット系は危険

小林製薬の自主回収食品

 サプリをと摂取し続けた人が腎臓に深刻な健康被害にあったというニュースが流れました。その人数や症状も多岐にわたり、死亡につながったケースもあるとされ、メーカーもそれを使用した関連の会社も製品の回収と原因究明、釈明に務めています。
 食品や化粧品、日用品は機能性とかトクホ、薬用、医薬部外品などいかにも効果がありそうで、高いお金を出して毎日せっせと試す人もいますから、もし健康を害する成分が混じっていると被害は広範、重篤になります。
 薬品は、症状が悪い時にだけ使用して、症状がおさまると使用はしないのが普通で期間が限られます。サプリ、健康食品、医薬部外品は薬用とか機能性とかで、痩せたいとか目がよくなるためなど、少々強力なクスリでもすぐには改善できないものを、使用を続ければ改善できると信じ毎日、何年も続ける人がいます。プラシボ効果で、効いてきたと信じてさらに長期連用すると、今回のような弊害が大きくなるのはその面です。
 私は化粧品メーカーに勤めていて、美白化粧品の白斑被害に関わり大変厳しい経験をしました。化粧品も毎日効能を信じて使い続ける人がいます。微量でもクスリになるもの毒になるものがあり、悪い方が積み重なるととんでもないことになることは教訓でわかります。
 元化粧品メーカーの私が言うのもアレですが、健康や美容はサプリや薬用化粧品、クスリを連用して得られるものではありません。
 信頼できるものもあるでしょうが。絶対的なものはありません。ダイエット系でカロリーゼロや糖質ゼロと言っても、味は何か添加物でつけていますから、それを毎日摂取続けるのは、それほど実証実験されたものではないのです。食べながら、ダイエットとかいううたい文句で、脂肪や糖の吸収を抑える成分が入っているものも、よく考えたら無駄で危険です。食べているものと、プラスしてサプリで添加物だけでダブルになります。
  麹の場合は、何かの事故で毒性を作る菌が混入された可能性もあるそうですが、さまざまなリスクを考えると、同じものを毎日習慣で食べるのは危険と言えます。毎日、朝にトーストにマーガリンをつけていて、そのマーガリンやパンに問題があれば重大です。パンを変えたり、塗るものを変え、食材そのもの、あるいはご飯にする日も加えればリスクは逃れられます。
 サプリや薬用のものは、微量や忘れた頃ではなく毎日でないと効かないというジレンマがあるのですが、そもそも継続するのにかなりの出費ですし、そこに投資しそんなに頼ることが問題です。
 
 適度に運動し、バランスのとれた食事を心がけて、たまにファストフードや、サプリなどでも良いでしょう。不摂生をサプリやクスリ、ダイエット食品に頼るのは命を縮めます。

「法律の不知はこれを許さず」

 いろんな立場、事件や犯罪がありますが法治国家では「法律の不知はこれを許さず」なのです。
 これは、日本では刑法38条3項の「法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない」とされていることでアメリカ、ヨーロッパや主な国などでも同じです。
 労働基準法とか道路交通法、会社法、刑法を知らなかったと言って、罰金や過料を免れることはできないです。
 これをわかっていないで弁明とか擁護に走る人結構います。いわくいい人だからとか、才能がある人だからとか、逆に悪そうに見える人、気に入らない人、楽に儲けていそうに見える人は厳罰を望む世論もあります。
 有名なタレント,アーティスト、アスリート、政治家であろうと人柄のいい人、才能のある人、仕事のできる人でも法律を知らないからと罪を犯せばそれは罪であり、罰は受けないとその人だけ許されることはないのです。
 知らなかったがまかり通れば、何でもありになりますから本当に知らなかった人には悪いですがそれは無知の罪で言い訳にはできないのです。
 
 法律の周知が遅れたとか、完全に誰かの悪意で騙されたとかいうケースでない限り、減免はないものです。ここらあたりには、事実関係の争いにはなります。また犯罪があっても起訴されないと裁判所は裁けません、その点では警察や検察、民事なら訴訟を起こす側が動かない怠慢だと、犯罪は認定されない面はあります。

日本女性初の弁護士、裁判所長 法曹界の女性

 4月からの春のNHK朝ドラヒロインのモデル・三渕嘉子さん。日本初の女性弁護士の一人であり、日本初の女性裁判所長 になった人の果敢な生涯をたどるそうです。
 今でこそ、テレビでは女性の若くてきれいな女優さんが演じる弁護士や、検事、判事もよく見かけます。実際に私の働く地方裁判所の民事の一つの部に関わる裁判官でも半数近くの5名ほどが女性です。すでにお子さんを育てておられる方から、まだ学生に近い見栄えの司法修習を終えたばかりの若い方まで、男女の能力も分け隔てもなく活躍されています。その他、裁判に関わる書記官、事務官、関連する検察、弁護士会も女性の割合いが民間企業に比べても多いのではと思います。
 こんな働き方もこれから描かれる三渕さんのような嚆矢の方、先人のブレイクスルー、粘り強くネゴシエーションや努力があってこそかと思います。

 女性が働きやすい環境が整ってきたのは、戦後もごく最近ですし、戦後憲法が変わり、法律が変わっていっても、設備面や慣習的なものでなかなか「女だてらに」という壁はつきまとったものでしょう。
 昭和の終わり近く1982年(昭和57年)に社会人になった時、上場企業だった私の会社の同期になる大卒本社採用に女性はゼロでした。女性の仕事は事務職や派遣販売員として別枠のような感じでの採用の仕方で、4大卒の女性の就職は成績優秀でも就職は難しいものという時代でした。成績が優秀でも良家の卒業生は、婚約が半ば決まっていて本当に腰掛程度に働く人も多かったのです。そして、いくら有能で仕事ができても一度辞めると復帰は難しい社会でした。
 実際に女性がさまざまな職業を選び、結婚、出産、育児で仕事を捨てなくても良い仕組みが定着する時代というのは昭和が終わり平成が進んでからではないでしょうか。
 世界にはまだまだ、女性が働きづらい国もありますし、人種をはじめさまざまな差別もあります。
 大谷君らが何かと注目されるメジャーリーグのアメリカでも、ドジャースに全米で初めて黒人選手がデビューできたのは1947年日本の戦後です。
 明治、戦前の男尊女卑社会から、人権や職業の自由が開放されていくのはそんな時代の経緯なのでしょう。

書評:町田そのこ「52ヘルツのクジラたち」映画化レビュー 声の届けられない人達の物語

 2021年本屋大賞を受賞した町田そのこのベストセラー小説。タイトルの「52ヘルツのクジラ」とは、他のクジラが聞き取れないほど高い周波数で鳴く、世界で1頭だけの孤独なクジラのこと。

 自分の人生を家族に搾取されて生きてきた女性・三島貴瑚。ある痛みを抱えて東京から海辺の街の一軒家へ引っ越してきた彼女は、そこで母親から「ムシ」と呼ばれて虐待される、声を発することのできない少年と出会う。貴瑚は少年との交流を通し、かつて自分の声なきSOSに気づいて救い出してくれたアンさんとの日々を思い起こしていく。
 現代と、傷ましい過去が錯綜し、深い傷みとなった因縁の謎も解かれていきます。家族の暴力や、心の病、LGBTなど深く重苦しい問題が少し軽妙でユーモラスな筆致で描かれます。

 以下映画の公開されている情報から、ネタバレはない程度に。


 映画では演技には定評のある杉咲花が貴瑚役で、彼女を救おうとするアンさんこと岡田安吾を志尊淳、貴瑚の初めての恋人となる上司・新名主税を宮沢氷魚、貴瑚の親友・牧岡美晴を小野花梨、「ムシ」と呼ばれる少年を映画初出演という桑名桃李が、少年の母親を西野七瀬が演じています。
 やはり映像化と興行的には厳しいところもありました。杉咲さんはすっぴんに近い体当たり的演技も素晴らしいですが、やはり重すぎる映画に沈めてしまい勝ちです。他の役者さんも売れっ子が多く、役作りが難しいのと時間が錯綜し、作りこみを鑑賞する方は少しシンドイでしょう。原作が映像2時間程度にはおさまらないのです。
 若手男性俳優も悪くはないし、まあ頑張っています。志尊君は戦隊ヒーローの凛々しさではなく「半分青い」以来のジェンダー難しい役、宮沢君はこの映画では「いい人」ではなく新境地的なチャレンジでした。
 映画から先に観た人は原作を読んで欲しい典型です。