田中角栄は歴史上の人物になってしまった

 田中角栄と言う人は、物まねされやすく、最近でもタモリさんがテレビ番組で、麻生太郎氏も国会でユーモアを交えてウケてはいましたが、リアタイで知らない世代がどんどん増えていることには愕然とします。
 後世のタレント物まねで知っていた程度、それもそのはずか1918年生まれなので大正時代の生まれであり、総理になったのは1972年(昭和47年)7月からで1974年12月には退陣しています。その後も派閥を束ねるボスではあり続け、78歳で亡くなっています。
 首相退陣後、ロッキード事件で収監され、闇将軍として暗躍するも田中派は分裂して、影響力は落ちた晩年でした。しかし、高度成長期を懐かしみ、強いリーダーシップを望む人々から田中角栄の評価は上がり、復権しています。
 日中国交回復や日本列島改造論など、ぶち上げてやり遂げたことのスケールは大きく、今の日本を大きく近代の優等国に導いた功績は大きいでしょう。
 亡くなられたのは1993年平成のはじめ、活躍時期を考えると、今の若い人が歴史上の人物とするのも分かります。大正から平成のはじめまででは。世代がいくつも前ととられます。経済成長のためには、まだまだ日本人は働きづめで、人権やコンプライアンス、ハラスメントましてやLGBTなどという言葉すら誰も知らなかった時代で、今と違うと言えばそれまでです。ただ政治家が自分の信念、意志を強く持ち、突き進む責任をとるところは、今の時代の誰にもない人物でした。
 尋常小学校しか出ていないで、当時はお金の力も人たらしの力もあって、大正生まれとしては初めて若くしての総理で今太閤ともてはやされました。そのため官僚や米国、同僚にもやっかまハメられたのでしょう。
 日本列島の隅々まで、新幹線や高速道路などのインフラをはりめぐらせることは、彼の強い意志と推進力が無ければできませんでした。日本海側は発展することもなく今以上に過疎で寂れたままで人口減を迎えたと思われます。
 公共投資は企業を通しての所得の地方への再分配でもあり、経済政策なのです。そして未来の日本をデザインするもので、年寄り世代がそんなもの必要ないとか自分は老い先短いから利用する機会がないと反対するものではないのです。
 夢と未来を与えることをしっかり語れる国のリーダーが今こそ求められます。

書評「赫衣の闇」 戦災孤児、、戦後の闇は文字で読んで想像する方がいい。

 三津田信三の2年ほど前の作品です。ミステリ色の強いシリーズと、ホラー色の強いシリーズの中間で、敗戦直後の時代の世相の悲しさを主題にしているように思えます。
 書評の中にはミステリとしてもホラーとしても物足らないと酷評もありましたが、私は個人的にはこの食べ物もなく、汚く貧しい時代が切なく描かれている作品が良いともいます。
 ネタバレ注意。密室で殺人が行われ探偵役も出ますが快刀乱麻を断つロジックの謎ときは最後まで語られず。ホラーのメインになる怪異も帯で煽るほどではなく、謎のままでした。
 背景となる戦災孤児、闇市、スラムのような長屋、三国人の差別。ドラマや映画、アニメでは戦争を挟む一代記などでも、よくこの時代が描かれます。
 最近公開のゴジラ-1.0にも戦災孤児が出てきますし、NHKの朝ドラには孤児を育てる話もあれば、美しいヒロインの兄妹が、元は生き別れた戦災孤児というものさえあります。ただ、これを映像にしてしまうと、もう想像がそこで止まってしまい、現代の女優さんがメイクして衣装を着て、セットの前で演技して、そこに映える姿が全てになってしまいます。
 映像は一瞬のうちに、沢山の情報が脳裏に入りますが、それ以上想像することはありません。文字だけから伝わる恐ろしさ、貧しさ、汚らしさ、醜さには底の知れないものがあります。
 シベリアで抑留されて、痩せこけて死ぬほどひもじい思いをしても、文字なら想像で入り切れる世界が、映像になってしまえばそれは、どんなにスゴイ演技でも、映画賞を受賞したりバラエティで宣伝をしている俳優のメイクをした姿なのです。
 ましてや、今のテレビや映画では、制約、制限があり過ぎて本当にその時代を再現することができなくなってしまっています。取り決め、興行としても、俳優さんを汚すのにも、表現できる自由度は下がっています。
 文字だけの小説はオワコンで、マニアックなものに成り下がっているとも言われますが、戦災孤児をまともにイメージできるのは文字だけなのです。オブラートに包んでも、この時代の衝撃的な社会を伝えたいという、山崎監督にしろ、NHK朝ドラの制作陣にしろ、スタンスは認めますがそれは入り口なのです。
 小説も良く調べられています。私も敗戦後の1950年頃を舞台にした小説を書きたいのですが、取材は大変です。リアルで経験していないとどれだけ調べてもこれでいいかと思います。
 三津田氏にしろ、山崎監督にしろ、調べ方の要領も進み、スタッフも慣れて映像化にはCGもあるとはいえよくできたものです。
 しかし、戦争に対する政治的な思いは少し違ったりもします。そのあたりは何ともです。
 残念ながら、そういうものかと思われては困る。そんなにきれいなもんじゃないということなのです。
 

書評:島田荘司『ローズマリーのあまき香り』

 amazonの紹介文から 
【世界中で人気を博す、生きる伝説のバレリーナ・クレスパンが密室で殺された。
1977年10月、ニューヨークのバレエシアターで上演された「スカボロゥの祭り」で主役を務めたクレスパン。
警察の調べによると、彼女は2幕と3幕の間の休憩時間の最中に、専用の控室で撲殺されたという。
しかし3幕以降も舞台は続行された。
さらに観客たちは、最後までクレスパンの踊りを見ていた】

  いわゆる絶対的な密室の不可能で不可思議な事件。御手洗シリーズノ久々の長編になるようです。毎年のようにこのミスの直前ぐらいに選考を拒むような長編を上梓していましたが、これは5月ぐらいの出版でした。それにしても分厚い長い一冊。何人かの書評にもありましたが、御手洗が登場するまでの前半、バレリーナの物語が延々と続くのはいつものパターンとは言えやや退屈でそれほど引き込まれない感じがしました。壮大な現代世界の歴史であり政治色もありで、衒学趣味満タンこです。冷戦からウクライナやコロナも暗示して、結末やTRICKは何となく読めてアンフェア感もありです。新本格の胎動以来、後続の作家が続々すでに大家となり、長老もいよいよ老いられたかな思います。
 ミステリというよりは、政治と近代史のドラマかと思います。横溝がいて、清張がいて、その後も時代を闊歩した島田作の探偵も平成の中頃で時間を止めてとどまって、あとどのくらいの事件が世に出るのでしょうか。

やはり怖い三津田信三の「あれ」

書評:ネタバレというほどではありません。
 短編集です。瀬戸内にある波鳥町。その町にある、かつて亡者道と呼ばれた海沿いの道では、日の暮れかけた逢魔が時に、ふらふらと歩く亡者が目撃されたという。その怪異は、だんだんと主人公の友人に家に、、
 どちらかというと、人気シリーズのサブキャラによるスピンオフで、他シリーズのキャラも最後は登場してワールドが広がります。
 三津田信三さんの小説は、怪異が主人公に背後から迫る時、心情の描写で「あれ」が迫ってくるとか「あれ」がもう背後まで来ていると代名詞で使います。阪神の岡田監督の「アレ」の先駆でしょうか。アレが一般に著名になり、もう「あれ」は怖くないのかなと、読んでみたらやはり本家憑いてくる「あれ」は怖く不気味でした。

ゼロ飲料に高いお金を払う不思議

 発泡酒の税率が変わったこの秋、ビールやチューハイ風の飲料でカロリーゼロとか、糖質ゼロ、アルコールゼロなどもさまざまな新商品が追加投入されています。
 個人的には、稼ぎの少ない若い頃は発泡酒を呑む機会も多かったのですが、この微妙な味のつけようはやはり添加物とかも多いかなと、やめにしました。
 日本人は、税金の対策とか原料の入手難など条件の制限で、起用に新商品を産みだします。しかし、マーガリンのトランス脂肪酸が身体に悪い(今の商品は低減化しています)とかやはり本来の原料からの製法からいうとまがい物文化ではあります。
 ビール系では、発泡酒ではない本格ビールで糖質ゼロという商品がかなり宣伝されて、店頭を占めています。ある意味贅沢な糖尿病など、肥満対策のものです。
 ヘルシー嗜好とはいえ、そもそも飲まない、食べないなら問題はない気がするのです。
 為替相場もありますが、世界には200円ぐらいのビールワンパックを食事に充てれば一週間ぐらいのカロリーを取れて救われる命もあります。
 明日をも知れぬ飢餓の人々がいる国がある中、飲んでも食べても栄養にならないものにお金をかけることや、むしろ脂肪や糖の吸収を抑える食品が出回とは、本当に贅沢な国です。それで経済が回り、貧しい国に支援ができれば国際社会としてはいいのかもしれませんが、何かわりきれないものがあります。
 高度経済成長期にあるSF作家が予言していた通り、人間の営みというものが、生命の維持と子孫を残すものから、ただその世代の快楽のために、本来の本能的な必要とは関係なく、食事をとり性交をするようになってきているのです。
 

読書の秋 シェア押されても紙の本が一番

 スポーツの秋、味覚の秋とともに誰が言ったのか、読書の秋という季節です。この時期に書店のイベントや古本市なども多いです。真夏の炎天下では読書どころではないでしょうが、気候が落ち着いた時期は出かける人も多い中、いまどき紙の書物を読んでいる人もそう多い割合ではありません。
 紙ではないタブレットなどで読む電子書籍や、紙でもマンガや雑誌、ムックや写真集なども読書のうちでしょうか。そこは判断に困るところです。
 個人的なまさに独断では、極めて狭義ですが、「読書は小説、随筆」を主に考えます。
 図書館司書の仕事などでも、雑誌はもちろん今は音楽や動画の貸し出しがかなりのウエイトになっていますが、あくまで小説、随筆としましょう。
 それでも、「本」を読むという、時代遅れのような行動が「読書」だと私は思います。
 ジャンルもですが、よりビジュアル度の高い、マンガや動画などがはびこり出し、私の頭の中でさえ読書のシェアは以前よりも若干、低下傾向です。
 それでも、毎年年末の「このミス」上位を狙いそうな作品や、話題作、受賞作などとシリーズで好きな作家など、読みたい本のネタには困りません。動画の誘惑にも負ける時もありますが、活字のつまった本を楽しむのは想像力を豊かにすると思います。
 

書評:森博嗣「銀河不動産の超越」

 かつて「すべてがFになる」犀川シリーズなどのミステリで一世風靡し、セミリタイアされている森博嗣の2008年のノンシリーズの1冊。何の書評なども読まずに連作短編かなと目次を見て読み始める。

 ネタバレ注意
 最初は無気力な主人公の若者が、大学を卒業してまともな就職ができず怪しげで奇妙な不動産屋に就職し、不思議に大きな建物に住まう奇縁で、その後は事件に会うのかと思いきや。
 どちらかというと清涼剤なのか、ほのぼのサクセスストーリーなのか、好転していく運命のわらしべ長者のようなお話になります。
 
 ミステリ的に疑いを持って読んでいると、大家さんにしろ、押しかけて結婚を迫る取引相手の娘にしても、裏があるのかと思っていても何もなく、そんな上手い話あるのかよと思ってしまいます。
 しかし、日本古来の許嫁やお見合い、現代のマッチングアプリなどは、書き方を変えればこういうものなのかもしれません。
 主人公は、ある意味、あれよあれとベストセラー作家になった筆者自身の投影なのかもしれません。

年金関係、社会保険関係の復習

 仕事としては、年金や労働、厚生労働省のお仕事は卒業したのですが、年金委員としてFPとしても、常に情報を上書きしたり、復習しておかないと記憶も悪いので勉強し直しです。
 年金に関するテキストめいたものは、さまざまありますが、それなりに勉強していただければ、言葉が難しく最初はとっつきが悪いですが、分かると面白いものです。
 高橋洋一さんは元財務相官僚で、小泉内閣、第一次安倍内閣で参事官ブレーンとして活躍、最近は動画投稿サイトでも頻出されています。
 著作は数年前になり、コロナ情勢などは加味されませんが、最近の彼のわかりやすい動画の背景になる肝はまとめて書かれています。
 老齢年金が長生きのリスクに対する保険であって、福祉ではないということが頭に入り、賦課方式が頭に入れば、年金制度の突然の破綻はないことが良く分かります。
 

 財務省や政府のウラからも見れば俯瞰的に良く分かる話です。マスコミやら財務省なのでしょうか、不安を煽れば、自分の立場が良くなる人は多いせいで、年金問題は複雑に見えます。歴史的な経緯から複雑化しすぎた日本のシステムの無駄の多さは、2冊目の下の写真の本でもわかります。鈴木亘さんは、日銀から大阪市の特別顧問や、東京都でも顧問として、西成対策や待機児童など福祉に精力的の行動された学者です。
 こちらはコロナ対策から生活保護制度、医療制度、介護崩壊に年金問題、そしてベーシックインカムと、皆が気になる社会保障の各論点についてわかりやすく解説し、自説も含め展開しています。5年に一度の年金改正法案が骨抜きなのは、この2冊を合わせて読めば良く分かります。
 年金とは離れますが、介護保険財政問題の解決策として、家庭内介護に報酬を払う案なども、介護休暇とともに政府はもう少し検討し、支援してもいいと思います。
 民主党政権は、そもそも経済も政治も分かっていなかったとみんなにボロクソに言われますが、マスコミの電波利権、財務と厚労などの歳入の一本化などマニフェストに掲げた命題は間違っていないだけに残念な面もあります。官僚の抵抗をあまりにも甘く見過ぎ、知識や実力の不足を知らずに進んだのが改革の頓挫の主因です。

 高橋さんの著書の後半にある通り、60歳から65歳、年金を支給されそうな時期というのは、同じ地域の学校、大学を出てさえ、大きな収入の差を迎える時期だということには納得します。
 そのトシで働けること、働ける仕事があり、身体などの条件があることも運命ですし、大きな収入があり年金に頼らなくてもいい人、年金と貯蓄などでそれなり優雅な人、年金でつつましやかに生きる人、年金も少なく無理に働く人。この世代の格差は非常に大きいです。
 彼は個人的な見方で、同じ年代で同じ学校なら能力に差は無いので【運】だと言い切ります。
 お笑いで、ビッグと言える大御所の目に留まり、才能を存分に発揮でき億の年収を獲れる人もいれば、芸は優れていても売れないまま夢を諦めて、貧しい老後しかない人もいます。
 この運、不運というのは、どの世界でもあります。そのためにも、しっかりと、生活基盤の最低ラインに年金があり、自助のためにもう少し蓄えないといけないのです。
 政府は、分母に税、社保料控除後の数字、分子(給付される年金)には控除額をいれない目くらまし的な数字で、年金の所得代替率を3分の2とか、6割だとか、福祉国家的アピールをしたいようですが、これは反って誤解を生みます。例の2000万不足問題はここが根幹です。
 定年後、ローンや子育ても終われば、今までの生活、付き合いや遊びを抑えれば、何とか年金だけで暮らせるだろうという幻想を産むのが、この所得代替率6割です。
 実際には値上げとか、病気、家のリフォーム、電化製品やクルマの買い替えとかいう以前に、年金から健康保険料や所得税、固定資産税やら引けば、元々手取りの所得代替率は4割です。

 高橋さんの、年金財政構造の、現役時代40年2割負担、年金世代4割受給で、バランスが良く分かると同時に、年金生活の意味が分かります。現役時代の4割程度のシュリンクした生活を覚悟しないと、年金だけではやっていけないのです。厚生年金40年でも、これですから、国民年金だけの方はもっと大変です。こんなことは100年安心の前から、わかっていたことです。国民年金の人まで含めて、2000万問題を炎上させ、総花的年金不信を煽った人の罪は重いです。

テレビドラマ雑感

 こういう芸能レビューが当ブログではないのですが、珍しくの夏のクールに対して時間があり、何となく興味があって視聴していたものが前評判通り視聴率や評価のトップ3を占めていたので感じたところを書きましょう。
 開始時期も回数もバラつき、多少9月末最終回でまだ終了していないドラマ、録画や配信でまだ未視聴の方もおられるでしょうからストーリーなどのネタバレは極力避けますが、若干の内容には触れます。むしろドラマを全くご覧にならない方にも、昨今の芸能事情も合わせて思うところを呟きます。

 最近はとくに、ミステリに限らず、犯人や黒幕、結末を想像し合い、語り合う「考察」が流行りになり、そのムーブを掴むための展開やキャスティングもなされているようです。
 今クールの最大の話題をさらったのは、そういう意味でもサムネ写真でもあげたTBS日曜劇場「VIVANT」ですね。大物俳優の競演、大規模な海外ロケ、半沢直樹以来の堺雅人主演で、謎をちりばめたスピーディな展開でした。通常の54分に収まる回が少なく、初回は2時間という録画泣かせでした。
 どうしても大きなスケールなので、政治的な内容も入ります。個人的には、ストーリーの展開上の必然で、製作者側に強いメッセージ性を感じるわけではなかったですが、どうしてもいろいろそこをあげつらう人が右からも左からもレビューを見るといるものです。
 そういう面でもTBSはドラマ部門は超一流なので、左よりポンコツの報道部門とは別れた方がいいと個人的には思います。

 第2位はやはり、設定とキャスティング、演技力で話題をさらった日テレ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」
 芦田愛菜さんの久しぶりの連ドラ出演ということでも最初話題でしたが、そこから入ると圧倒的な松岡さんの演技、一人長セリフに圧倒される内容です。
 タイムリープのドラマはもう毎クール1~3作は入る定番になりました。

 3つ目はテレ朝「ハヤブサ消防団」がやはり来ています。池井戸潤ですがミステリで、日曜劇場でもありません。キャストも渋く舞台出身の俳優が出演され、ユーモアには同局「TRICK」のテイストもありました。山本耕史も相変わらず何やらせても上手い。

 その他は、見ているものと、録画をこれから見るとか、見ていなものがあります。
 連ドラ常連というか、売れっ子は視聴率がとりやすいのか、坂口健太郎、今田美桜、小芝楓花さんらそれぞれ主役脇役を固めて、それなりに仕上がってはいます。しかし、逆に新鮮味に欠ける面も否定できず、演じる側はそんなことはなくとも、設定や脚本に難が出たりしてしまいます。見る方は前のクールの〇〇役のが填まってたというのもありますし、ドラマ自体がつまらないと推しの俳優が出ていても、何だか痛々しいように思います。
 坂口健太郎さんに関しても前クールのドクターチョコレートが良かっただけに、今度のは失敗作ですね。
 深夜帯ですが、ノッキンオン・ロックドドアは、何かとのジャニーズ男性二人主演というもう今後はありえないキャスティングの、ロジカルな探偵ドラマでした。刑事役の石橋靜河さんは結構ハマっていました。

 NHKは、朝ドラがかなり久々の独走らしいですが、そこははずして夜ドラ「私の一番最悪な友達」は、等身大のコロナ世代の就職女子が主人公で、なかなか男友達が大学の演劇青年、自身は化粧品会社就職ということもあって他人事と思えず、いまどきの就活も含め楽しんで見ました。蒔田彩珠さんは朝ドラ「おかえりモネ」の妹役以来のNHK秘蔵っ子ですが、ナチュラルでやや影がある役上手いのですが、ブレイクできるでしょうか。

 つれづれに、書いていまいました。就職活動の昔と今を思いましたね。
 

京都番組小学校の跡地

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 時代は幕末から明治の転換期で、首都機能の東京移転などにより京都は衰退の危機にひんしていました。 そこで復興に向けて立ち上がった町衆たちが、とくに力を入れたのが教育だったのです。1869年(明治2年)には、27程度の町を1番組として、上京に33の番組、下京に32の番組、同年中に64校の小学校が開校されました。

 これらの小学校は、1872年(明治5年)の、国家による学校制度(学制)の創設に先立つ、日本で最初の学区制小学校でした。
 琵琶湖疎水を作り、その電気を使って日本最初の市電、路面電車も京都に作られました。
 当時の町衆や市長の、危機感と変革への意欲と迅速な行動は、古都の歴史に残るものでした。私は下京の第一番組、乾小学校、現在の洛中小学校の出身となります。


 番組小学校は、平成に入り、都市部のドーナッツ化子供の減少で、統廃合されました。廃校の一部は施設に転用されてきています。有名なのは上京第25番組龍池小学校の京都国際マンガミュージアムでしょうか、その他も公共施設、教育機関、文化施設、民間のホテルなどに転用されていますが、20年以上経ってまだ放置されているところもあります。
 地域の、防災や体育会にグランドは使われていますが、市内の一等地で長々と待機のままはもったいないと思います。
 転用から20年経ち、老朽化も進み必ずしも、活性していないところも含め、これらを早く有効に使おうという、京都の行政も市民も明治期に比べ、危機感や躍動感が足りなくなってきているような気がします。
 京都に限らずでしょうし、明治維新ほどのドラスティックさがないため、徐々に生気が無くなっていくのが今の日本かもしれません。武士という身分もなくなり。公家もいなくなる「だったら、何をすればいい、何をさせたらいい、社会に何が必要か」根源的な危機が今の中途半端な豊かさの中からは生まれないのかもしれません。
 もう一度、教育の原点、本を読んで必死に勉強しないといけないのでしょう。